RCCニュースNo.58(2010年3月号)
発行;RYUKENマテリアルフロー研究センター
●RCC雑記帳
今後期待されるフードチェーンについての雑感②
ロジ共働促進株式会社 代表 前谷 加奈
先月号に続く2回目として,加工食品の中でも一番添加物・着色料等を使用し,製造工程が複雑である菓子製造業の企業へ弊社が昨年,物流とPB(自主企画)
について,郵送法にてアンケートを行ったデータ資料に基づき,筆者自身が先月ISO22000審査員補資格を取得したご報告も兼ねて,食品安全マネジメン
トシステム(通称FSMS)視点で上記アンケートの「物流」部分についての雑感を述べさせていただきたい。
■日本の食糧事情
現在の日本における食品自給についてはご存じの通りである。「平成21年度食料・農業・農村白書」によると,1965年は供給重量ベースにおいて食品自
給率は73%に対し,2007年度の調査では米以外は家畜の飼料や原料,果ては加工品そのものを輸入に頼っており,自給率は40%といった状況である。
そして,食に対する消費者の安全・安心志向はリーマンショックでの不況期でさえも,原料や添加物にも関心が及び,食品業界でも輸入食品に対しての不祥事やメタボリック対策等と同様,FSMSの考え方も「未然に絶対に防ぐ」といった考えがベースとなっている。
そのため現在のFSMSにおいては,一次生産から消費者までのフードチェーンを監査するにあたり,経営者へのコミットメント(訳するのであれば,この場
合は「誓約」の意味合いが強い),といった面がかなり厳しく審査される。そのためか,FSMS登録評価機関は2団体存在するのだが,日本国内では未だ
ISO22000審査員は合計300人に満たず,食品関連企業における認証取得数も予想以上に伸びていない。
FSMSができた当初,獣医や医師レベルの方々が審査員として活動を行ってきたため,同じ書類審査・力量試験をパスしていても,「流通」や「輸送・保管」のカテゴリーにおいて審査をできる人間が少ないのが現状である。
■菓子メーカーアンケート結果より
弊社が郵送法により菓子・パン類製造会社(大手中堅企業は除外した)への対象数は,のべ528件,回答割合30.1%で159社から回答を得ることがで
きた。従業員構成は30~50人が一番多く28.3%,次いで100~200人が24.5%,その間の50~100人が20.8%との比率であった。製造
種別に関しては和生菓子が約4分の1を占め,次点で和洋焼き菓子/半生・ゼリー類製造が15%前後であった。
ここからが輸配送に関する中小企業の生の声である。現状の配送方法については予想と異なり,自社便・委託業者・路線便・使い分けているとの4項目にきれ
いに等分されてしまった。そして,共同配送についても設問を設けたが,これについては「行ったことがある」が27.5%で残りの72.5%は「ない」との
事であった。
「行ったことがある」と回答した1社の理由は不明であったが,「共同配送を1度行ってみたが,コスト増になり結局やめた」と書かれていた。自社便が思った以上に多い原因は筆者としては物流業界の前職で流通企業のPB商品を担当していたため,何となくわかる。
大切な上得意様(つまり大企業・専門店メーカー)への工場納品等に至っては,間違いがないようにと,経営者自らが失礼のないようお届けしていたのを承知しているからである。
こうした面でもまだ中小の食品製造業では経営者がプレーヤーを兼任している点が垣間見られる。
■菓子製造業の不安
このアンケートでは最後に今のご時世も反映させ,不安点や現在の食品製造に関する法令等の反論を書いて頂くスペースを広く設けた。すると,各社多くの感じていることを返答して頂け,一部開示するので是非一緒に考えていただけたら幸いである。
・共同配送の納品時間が厳しく,品質を落としかねない
・セキュリティ等の設備投資を含めて物流コスト増
・法令違反の企業のあおりを受けての製造コスト増
・農水省と厚労省で規格統一をして欲しい
※これに関しては一部,昨年9月より消費者庁管轄に法令移行された。
・後を絶たない産地偽装
・中国からの小豆餡をどうにかしてほしい
・材料加工工場減少による価格高騰
下から2番目の中国産小豆餡については,トレーサビリティの問題もあるのだが,製餡を作る際には大量に水を入れ替えて製造する必要がある。これは大量の
汚水を流すことになるため,都道府県より「環境問題にも考慮してほしい」との事で輸入に頼らざるをえなくなってしまったという一面も実際起こっているので
ある。
*
簡易的な雑感及び考察になってしまうが,こうした中小製造会社に支えられ,頻繁に出回っているPB商品,さらには日本の食糧事情も成り立っている。普段は見えない部分ではあるが,製造しやすい環境作りは国民全員に課せられた課題ではないだろうか。
2月度RCCサロン 開催報告
物流現場力と経営戦略
去る2月5日,本年最初のRCCサロンがRCC顧問の高橋輝男早稲田大学名誉教授を講師に開催されました。
予定通り,「物流・ロジスティクスにおける現場力と経営戦略」の注目テーマで高橋講師が約1時間,様々なケースを引きつつ物流現場力活性化,経営戦略策
定と自律性を生かした現場力の整合などについて話を聞いたあと,常にも増して活発な意見交換が行われ,大いに盛り上がりました。
その内容は後日,本誌で詳しく取り上げる予定ですので,ご期待ください。
4月度RCCサロン・開催案内
東都生協の物流効率化戦略
~拡大する宅配事業と物流システム整備~
最近,無店舗販売が消費者に支持を得る中,生協の個人宅配事業も大きく注目されており,各生協では物流システム・拠点整備を推進しています。
そこで4月度のRCCサロンでは,東都生協の物流キーマンである山本昇氏をお招きし,お話と意見交換をすることにしました。
1973年に設立された東都生協は,「産直」「協同」「民主」−いのちとらしを守るために−の基本理念のもと,すぐれた商品を求める消費者・組合員と,
農業生産者・漁業生産者・メーカーとが直接手をつなぎ,生産・流通・消費のあり方を問い直す「産直」(産地直結)を基軸に据えた事業と運動を進めていま
す。
東京近郊の生産者と総合的な産直を実現するとともに,全国の生産者と提携し,くらしと農業,環境が共生する社会をめざした「土づくり宣言21 エコプラン」も推進中。
組合員数は22万人以上,班配・個配,店舗,生活文化事業などの供給事業,共済事業を合わせた総事業高は約387億円となっています(ホームページより引用,各09年3月20日現在)。
本サロンはRCCメンバー以外の参加も歓迎です。お早めに事務局までお問い合わせください。
◆4月度RCCサロン・企画内容
・テーマ/東都生協が取組む物流効率化戦略~拡大する宅配事業と物流システムの整備~
・講師/東都生活協同組合専務付物流改革担当部長補佐 山本 昇氏
・内容/
①生協の役割・組織と東都生協の概要
②物流部門の使命・役割と最近の物流ニーズ
③とくに個人宅配の拡大傾向と,東都生協としての課題・対応
④これから求められる物流技術・システム・物流拠点機能
⑤今後の展望,計画 ほか
・日時/2010年4月9日18時~20時
・場所/流通研究社 会議室(〒171-0022 東京都豊島区南池袋2-47-6,2F)
・定員/先着20名様
・お問い合わせ・お申し込み先/RCC事務局(TEL.03-3988-2661)まで
〈ロジ検講座〉ニュース
来年度ロジ検講座,実施日程決まる
中央職業能力開発協会(JAVADA)が厚生労働省の施策方針を受けて実施しているビジネス・キャリア検定試験/ロジスティクス管理・オペレーション(2級・3級)の平成22年度前期・後期試験スケジュールが固まったことは,前回お伝えした通りです。
流通研究社/RCCでは,本試験日程に合わせ,来年度もロジスティクス検定合格支援講座(BC塾)を開講します。ぜひご参加下さい。
●2010年度前期・3級「ロジスティクス検定合格支援塾」の開催日程
*オペ; 6 /22~ 9 /21(8 /17除く),毎週火曜日,13時~17時
*管理; 6 /23~ 9 /22(8 /18除く),毎週水曜日,13時~17時
▼全4科目の後期コースは,10月中旬~2011年2月上旬に実施します
⇒詳しくは90ページをご覧ください
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皆様もぜひ来年度の人事・教育計画に本教育講座とロジ検受験を組み込み,物流人材育成推進による大競争時代の勝ち残りへ,取り組みを開始されてはいかがてしょうか。
▼RCCニュースパックナンバーは
⇒http://www.ryuken-net.co.jp
でご覧ください。
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