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RFIDのアメリカン・テイスト(10)
08/02/05
Column 「ちょっとマテフロ」
RFIDのアメリカン・テイスト
その10/米視察ドタバタ紀行;ペグ・ペレゴ編(下)
米国RFID・物流視察紀行、最後の公式訪問先であるベビーカーメーカー、ペグ・ペレゴ
のRFIDシステムポイントに切り込みます。ウォルマート対応サプライヤーの、鑑とも言う
べき取り組みかも知れません。
*
前回概説したようなペグ・ペレゴのRFD導入現場を見て、第一に感じられたのは、ベ
ビーカーは大きな製品で、単価約3万円とコスト負担力があり、バッテリーほか金属部
品も当然使っているとは言え、箱の中身には空間も多く、RFタグの貼付・読取りには実
に適した対象だということ。
これを4個×4個×2段で32個くらい積み合わせる大型木製平パレットは、縦横2m以
上、1枚でトラックの上下左右にちょうど一杯になるパレタイズ姿となり、トラック荷台、ト
レーラー1台分の積み込みも数枚で満載になります。極めて効率的なハンドリング・オペ
レーションになっていますが、ゲートでの1パレット分のケースタグ同時一括読み取りに
も、これなら無理のないケース数だと思われます。
その上で、ペグ・ペレゴではRFタグ読取り結果を、ネットワークでイタリア本社の上位
ERPシステム・SAPとつなげ、在庫管理、部材発注指示、出庫管理に連動させているそ
うです。08年にはSAPのWMSモジュールも導入して、システムを完成させる予定と話し
ていました。
つまり、製品完成後に、輸送荷姿へのタギングを行っているのではあるけれど、これを
同社の物流センターへの社内出荷管理、センターでの在庫管理・ウォルマートへの出
荷実績管理、さらに資材発注など生産管理分野までの自社内業務に活かし、連動させ
ているのが立派なところだと思います。
* *
これは大きなポイントでしょう。大半のサプライヤー企業は、ウォルマートに言われるの
で仕方なく、米国内の最終出荷拠点で「ウォルマートDCへの出荷直前」にタギングして
いるので、社内管理には全く活かしていない=手間と費用だけ掛けて実質値引きに応
じている=と思われます。日本の超大手家電メーカー各社でさえ、数年越しでRFIDのラ
イフサイクル管理への活用を研究中ではありますが、現時点ではまだ上記の消極的対
応にとどまっているようです。
ペグ・ペレゴはそうではありませんでした。中小といえる規模の玩具メーカーながら、
やっていることは本格的で、真っ正面からのRFID活用の取組み。もしかすると1つの、
ウォルマート・RFIDマンデート対応企業の鑑、と言っていいかも知れません。
* * *
ただその一方で、疑問符が付く点もないではありません。まず、同社がこれほどRFIDに
真剣に取り組んでいる背景には、ベビーカー商品のウォルマート向け売上比率が
「65%」もあり、ウォルマートの意向を聞くほか選択肢はない立場に置かれているという
事実がありました。それでも、仕方なしの消極導入でなく、MUSTであることを逆手にとっ
て(タグ納入メーカー・オムロンの担当者さんよると「毒くらわば皿まで」とばかりに)、積
極策で自社システム高度化を一気に進めた英断は、評価されるべきでしょう。
またRFID推進者である在庫管理部長のアイスさんはSAP出身であり、SAPとRFIDシス
テムインテグレータとが協働し、RFID対応のモデルケースとして大変に注力している印
象はありました。このあたりについて、視察メンバーの中にはかなり辛辣な見方(SAPと
システムインテグレータに食い物にされる恐れ)をする人もありました。
もう1つは、ペグ・ペレゴでは従来、出荷検品・実績管理は伝票による視認・マニュアル
作業で、バーコード管理も行っていなかった(!)らしいので、出荷ミスもままあり、ウォル
マートからのクレームがけっこう頻繁に来ていたようです。
「2件の店に10個ずつ出荷すべき所を、間違って5個と15個で出荷したとします。15個出
した店は“サンキュー!”と喜ぶだけで何も言わない。5個出した店からはクレームが来
て、もう5個届けなければいけません」とアイスさんは出荷ミス・クレームによるコスト増
加の現実を分かりやすく説明します。
それがRFID導入後は、自動検品による正確化とウォルマートへのASN(事前出荷情報)
のEDI送信でサービスを向上、クレームがなんと9割も激減! そのコストセーブ分だけ
で、「RFID投資は2年で回収できる」とアイスさんは胸を張りました。
* * * *
お見事、と拍手したくなる半面、では今まで一体何をやっとったんだ、と首をひねる部分
もありますが、まずはあっぱれ、と讃えるべき事例ではないかと思います。
次回はペグ・ペレゴの帰りに寄ったウォルマート・スーパーセンターの現場を起点に、
ウォルマート・マンデートへの対応の実態に思いを馳せることにします。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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