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TOP > コラム > RFIDのアメリカン・テイスト(12)

08/02/19 

Column 「ちょっとマテフロ」

RFIDのアメリカン・テイスト


その12/米視察ドタバタ紀行;ウォルマートRFID対応の現実(中)



米国RFID・物流視察の総まとめとして、ウォルマートのRFIDチャレンジは本当に今、どう

なっているのか、いよいよ結論部分に取り掛かります。国内で語り伝えられる虚像を覆

す、実像に迫れるか……。





ウォルマートはRFIDとネットワーク技術を駆使した究極の流通情報システムで「Win-Win

の製販協働」を目指す、と謳ってきました。この理想は誰にも納得できるもので、今も

ウォルマートはプロジェクト推進の旗を降ろしてはいません。多分これからも。


でも現実には、選択の余地なくRFタギングを強いられるサプライヤー企業からの不満、

そしてパレット積みのケースタグが100%読取りには遠いなど実現性への疑念も、くす

ぶっています。


ではその実態は? そして今後は? ウォルマートが公式取材に応じてくれないことも

あり、実像と虚像が巷で交錯する中、米国現地取材の成果を総動員し、本当の姿にに

じり寄ってみたいと思います。


これまで書いてきたように、今回の米国取材で編集部は、2か所のウォルマート店舗、2

社のウォルマート向け商品サプライヤー企業の出荷現場を訪れました。さらに現地で活

躍する唯一の日系RFIDベンダーとしてオムロン米国法人を訪れ、ウォルマート

/EPCglbalのプロジェクトを中軸とする米国でのRFIDチャレンジを巡り、今日までの経緯

と最新動向について聞きました。


わが「マテリアルフロー」3月号特集では、前段としてその内容を整理して全体を概観し

た上で、ウォルマートとサプライヤーの現場視察結果を加え、総合・分析しています。こ

こではそこから要点をいくつか拾って、問題提起とすることにしましょう。


*           *


ウォルマートは08年1月までに、リーダライタシステムを完備したRFID対応店舗を300店

追加し、計1,300店舗のRFID導入体制を整えると発表しています。今頃は完了している

はずで、これでウォルマート総店舗の約3分の1にRFIDリーダシステムが装備されたこと

になります。同社のDCのRFID装備率もやはり約3分の1とされ、ようやく第1段階の実施

体制は整ったのではないかと思われます。


ウォルマート店舗のRFIDリーダシステムは、(1)入荷バースのゲートリーダ、(2) 店頭へ

の通路ドアのゲートリーダ(店頭補充品ケースタグを読取る)、(3)品出し済みの空段

ボールケースをつぶすクラッシャーに設置したリーダ、の3パートから構成されていま

す。これで、ほぼ完璧に店舗の商品トレースが実現できることになります。


しかし今回実際に現場に来てみると、ウォルマートのバックヤードでも店頭でも、タギン

グされた商品があまりにも少なかったことが意外でなりませんでした。その意味をよく

考えた結果、こんな整理をしてみました。理由は2つあります。


*         *         *


第1に、前にも書きましたが、個品単位で陳列される店頭でもなおタグが残っている商

品は、ケース単位=個品となる大型商品に限られる、ということです。とくにクリスマス

前で混雑する倉庫や店頭でRFタグがほとんど見られなかったことで、「ウォルマートは

余りRFIDを使っていない」と即断することは禁物だと思います。


もう1つは、実際にタギングされている商品の比率が小さい、ということ。


ウォルマートはこれまで年々RFID導入の動きを拡大し、今ではRFIDタギング参加サプ

ライヤーの輪を600社まで広げています。「上位600社」と聞けば、ウォルマートの扱う大

半の商品サプライヤーが含まれるのだから、RFID導入は相当進んだはずと考えがちで

すが、どうやらそうとも限らない。


細かい分析は3月号レポートに譲りますが、サプライヤー企業はウォルマートに納める

商品全部にタギングしているわけではありません。交渉によって品目を決めますが、

「2~3品目だけに限っているサプライヤーが大半」と言われています。


タギング数が増えるほどコスト負担がかさむのを、どのサプライヤーも嫌っているわけ

です。アイテムを絞った上、売れ筋でなくタグ使用量が少なくて済む低回転商品を選ぶ

例もあるとかで、だとすればなおさら比率は小さい。


*        *       *        *


でもこれを聞いて「何だ、そんな程度か」「サプライヤーも表面的なお付き合いだけだ

な」と侮る見方に、筆者はくみしません。実は最初は短絡的な結論を出しそうになった

のですが、熟考した結果、異なる見解を持つようになったのです。


(次号につづく)


月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎