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Column 「ちょっとマテフロ」

RFIDのアメリカン・テイスト


その16/米視察ドタバタ紀行;ニューヨーク編(中)


暖かい反響をいただき16回も連載してしまったドタバタ紀行も、そろそろ店仕舞いへ。

珍道中のフィニッシュ(?)を決める「ディナークルーズ・ワイン事件」と、注目小売店視察

の話題など2回に分けお送りします。

       




「バス来ない事件」をきわどくクリアし、無事着いた11月のニューヨーク。2002年2月に

筆者が初めて訪れたときは、前書いたように同時テロ事件後半年で街にはピリピリ感

が漂うなか、2日目に大雪に見舞われ市街視察もそこそこ。プラダのRFID実験店舗

(06年に火事で焼失)突撃視察と、夜にホテルが爆弾か何かの警戒通報で一時出入

り禁止になってしまった緊迫感のほか、街の印象が余り残っていません。

今回は幸い秋の暖かな日差しの中、世界中から観光客が押し寄せる五番街はじめ、

あちこち市内を回る機会があり、ようやくニューヨークを知った気分になれました。



 *              *



さて軽い市内視察を終えたその土曜の夜、オプショナルツアーとして用意したニュー

ヨーク・ディナークルーズに、筆者はアテンドしました。夜8時から3時間に渡り、クルー

ズ船でイースト川からハドソン川へとマンハッタン島を半周し、ディナーと飲み物を楽し

みつつ街の夜景とライトアップされた自由の女神を堪能するという企画。

この日は夜に入りぐっと冷え込み、デッキに出ると頬を切る風の冷たさで数分しか耐え

られない中ながら、その冷気で光がきりりと際立ち、マンハッタンの夜姿はさながらダ

イヤモンドを散りばめたような、素晴らしい眺めでありました。

メインディッシュも終わったので、筆者はもう一度船外から眺めを楽しみ、テーブルに

戻ってきたのですが、何やら場が騒然としている。聞けばメンバーのOさんが、ウェイ

ターの倒した赤ワインをジャケットとズボンに浴びてしまった、というのです。

「バス・エンコ事件」「バス・来ない事件」に続き、これでもかと追い打ちを掛けるこの成

り行きに、被害者ご本人を差し置いて、コーディネータとしては一瞬唖然とするばかり。

だがぼっとしてる場合でなく、ウェイターが呼んできたマネージャーとの交渉を、Oさん

と一緒に始めます。


*          *          *



「これは事故であってミスではない。クリーニング代は弁償する、明日ここに連絡を」と

いうのが必要以上の非を認めない船側の言い分。しかしクリーニングで赤ワインが落

ち切るのか。旅行社に連絡し、明日対応するから大丈夫との答えに一応安心しました

が、気分を害したOさんを前に、せっかくのダイヤモンドの夜景が、美味しいはずの赤

ワインで汚されてしまった心地です。

ところがオーダーストップ後、渡された伝票にこぼしたワイン代が含まれているのを発

見! 普段おとなしい筆者もさすがに意を決し、30分ほど沈思熟考・英会話シミュレー

ション。そしてウェイターを呼びました。

やって来た浅黒い彼に「君は事故だと言ったが、君のこぼしたワインによって我々の

せっかくのクルーズは台無しになった。見たまえ、こぼれ残ったワインは少しも減って

いない。ワインを飲みたい気分などなくなってしまったのだ」なんて調子で事実を訴え、

「だから我々はこぼれたワイン代を支払う必要はないと考える。君はどう思うか」

すると、彼はすんなりと「分かりました」。あとで直した伝票を持ってきました。本当は

もっと譲歩させたかったのに、語学力のない筆者にできるのはそこまででした。



*       *       *       *



ところでこうしたディナークルーズにそのうち行こうと思っている方に、1つ貴重なアドバ

イスを。旅行社は気を利かせたつもりでしょう、出航1時間前の7時に乗船させてくれた

ので、終了の11時までには何と4時間もありました。食事とお酒で宴会が相当盛り上が

れば4時間でも持つでしょうが、宴会場でなく船内レストランのテーブル席ですから、そ

んな雰囲気ではありません。

あとになって欧米の男女客(ほとんどカップルか混合)達がタキシード・ドレスなどの盛

装をしていた理由が分かりました。食事後の約2時間、彼らは様々なダンス音楽に合

わせ、とにかく踊り続けるのです! ほとんど夜会、いや、まさに夜会が開かれていま

した。

で、オヤジばかりのわれわれ一行。ワイン事件でますます気分もくすみ、夜景に負け

ず賑やかできらびやかな「欧米か」そのものの夜会風景を、窓外の景色と相互に黙っ

て見つめ、時の過ぎるのを待っている‥‥。

いやあ、ほんと絵になりませんでしたねえ。ダンスを練習しておく(もちろん相手が必

要)か、意中のあの人と出かけ、愛を語らう場にすることをお薦めします。



*        




さて気を取り直し翌日曜日、メンバーNさんの発案で希望者を募り、追加視察を決定し

ました。ハイヤーをチャーターし訪れたのは、セントラルパーク脇のホテルから車で小

1時間、同市郊外にある新進小売業「ステュー・レオナルド」の店舗です。小売業界関

係者の間では日本でも最近、ウォルマートの次はこっちだ、と注目を集めているそうで

す。なぜか。行ってみて、筆者は納得しました。

                                (次回につづく)

 





月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎
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