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08/03/24

Column 「ちょっとマテフロ」

RFIDのアメリカン・テイスト


その17/米視察ドタバタ紀行;ニューヨーク編(下)~



さあいよいよ、ドタバタ紀行も最終回に。日米の流通業界でいま話題、新コンセプトの

小売店「ステュー・レオナルド」追加視察の報告で締めくくりたいと思います。そして今

度は5月の欧州視察へ‥‥。





さて「ディナークルーズ・ワイン事件」の翌日曜日、希望者一行はセントラルパーク脇の

メトロポリタン美術館を先に一巡りしランチをとってから、ハイヤーでブロードウェイを

北東に向けて走ります。


今では驚くほどきれいに整備されたハーレム街を通って、街の出口ではヤンキースタ

ジアム(とうにシーズンは終わりで松井選手たちの姿はない)の脇をすり抜け、高速道

路に入ります。

郊外の秋らしい風景を楽しんでいると、もうほどなく車は高架線を降り、今度は小高い

丘に上って、その頂きにある「ステュー・レオナルド」の広い駐車場にやってきました。

日曜の午後ということもあるでしょう、結構混んでいます。



店の規模は、日本のGMS程ではないが大型スーパーくらいのイメージか。もちろん何

階建てかになっているわけでなく、基本のワイド・ワンフロア。扱い商材は、同社がもと

もと牛乳屋であるからでしょう、食品中心ですが、酒類や日用衣類、ホームセンター扱

い品の一部も含み結構幅広い。

サイロも立ててあり牧場仕立て、カントリーイメージの外観(内装も)。その入り口にま

ず、お客さまに対する基本方針が大きな岩(たぶん本物ではないと思いますが)に彫り

こんで掲げてありました。これがふるっている。いわく、


    ◆私たちのポリシー◆

    (ルール1)お客さまは常に正しい!

    (ルール2)もしお客様が間違うようなことがあったら、

    (ルール1)をもう一度読め。



ウォルマートもほとんど同じ方針を公言していますが、笑ってしまうくらいにその内容を

より強調し、あえて店頭玄関に表示するのは、顧客志向・お客さま第一主義をとにかく

徹底する精神を表しているのでしょう。


*             *



さて店内に入ると、照明は店舗にしてはあれっというくらい暗めな感じ。よく見ると高い

天井が暗くしてあるだけで、陳列棚より下には普通に照明が点いている。でも、どこか

で感じたような「既視感」がある。何だっけ‥‥後でこれは、「明るい現実世界から・楽

しい異世界への誘い」であったのかと気が付くのですが。

通路レイアウトは軽い迷路のように曲がり角が続き、奥はどの向きも見渡せない。こ

れは「異界への迷い込み感覚」を醸し出してくれる。商品配置はカテゴリー単位でお決

まりパターンを排した意外な配列もあり、ドキドキ感を演出しています。

さすがに販売単位の大きいこと。とくにキロ単位の肉、でっかいポリ容器の飲料。それ

を老若のアメリカンたちはみな、2段のカートに山積みにして買っていく。

一方、店の奥にはパンとクッキーを焼く工房が店と直結配置してあり、ラインや焼き上

がりがすぐ店頭に運ばれてくる様子がよく見えます。ついでに2階の事務所も廊下がガ

ラス張りで天井から見上げられるようになっているのは、オープン志向のアピールか。

そう言えば店内を回るのは一方通行が基本。そして一筆書きですべての棚、というか

夜の商店街の路地を巡って全部の店を通る、という雰囲気なのですが、それが1トリッ

プなわけですね。するとかなりの歩行距離になってしまうので、途中でショートカット通

路も設けられていました。

ぐるぐる3分の2くらい回ってきた辺りか、牛たちの人形がカントリーバンドを組み、歌っ

て踊るディスプレイ、否アトラクションがセットされており、顧客の目を奪います。同社の

原点・牛乳にこだわったものでしょう、名付けて「ホルスタイン・ファミリー・シンガー

ズ」。


*           *           *



ここに至ってようやくハッキリ分かりました。世界中のリピーターを惹きつけて止まな

い、あのディズニーランド的アトラクションのコンセプトを取り入れ、顧客を楽しませな

がら買い物してもらう、というのがステュー・レオナルドの基本戦略らしいのです。いわ

ば店が丸ごと、1本のアトラクションになっている。

ディズニーランドかシーに行ったことのある方は思い当たるはず。「インディ・ジョーン

ズ」など、トロッコに乗ると暗いトンネルをくぐって私達を「異界」に誘い込み、音・光・衝

撃等々、五感を通して楽しいビックリ・アドベンチャー体験をさせてくれますね。

日本のドンキホーテのように少々えぐい、ごちゃごちゃ感ではなく、牧場・牛・カウボー

イのアメリカン・イメージ(これもディズーランドと共通)とこれを結びつけ、「エンターテイ

メントとしての買い物」という小売業の新たな可能性を開きつつあるように、筆者には

感じられました。感動、という重いものではないとしても、心に残ります。


*       *       *        *



さて「米国視察ドタバタ紀行」、これにておあとがよろしいようで。本コラムをはじめ、お

陰様であちこちの講演会や勉強会などでこのネタの話をさせて頂いていますが、ウォ

ルマートとRFIDの可能性については懐疑論・否定論にも根強いものがあるようです。


ではヨーロッパはどうなのか。弊社のツアーで前回行ってからもう3年経つうちに、ある

意味米国以上に本気で走り続けているとの伝聞がしきり。そこには何か、確信がある

のではないか。


そこで今度は5月に、3年振りの「欧州物流システム・RFID視察団」を派遣することにし

ました。ウォルマート以上のRFID実導入を進めているらしいメトロ、同時多数読み取り

効率化の新システムを導入したソニーヨーロッパ、書店の全冊にRFタギングを実用ス

タートしている先進書店セレクシューズ、13.56MHzで8m先から読み取れてしまう驚異

のHF帯RFID、DAG Systemの導入現場など、ドイツ・フランス・オランダを回ります。


こんどは「ドタバタ」にならないことを祈りつつ、いま参加者を募集中です。ライン川下り

やパリのフリータイムも確保したプログラム、どうです、ひとつご一緒に?


*欧州視察団情報はこちらです
                ↓↓
http://www.ryuken-net.co.jp/0321ousyu.pdf

(シリーズ終わり)








月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎