08/6/17(228)
Column 「ちょっとマテフロ」
ヨーロッパ物流・RFID紀行2008
その1/独セマットと視察のアウトライン
昨秋の米国に続き、去る5月27日から6月5日までの10日間、本欄でもご紹介した「欧
州物流システム・RFID視察団2008」に同行取材してきました。これまた様々な収穫が
ありまして、しばらく、その最新報告をお送りしたいと思います。
*
今回はまず、行程全体のアウトラインからご紹介することにしましょう。
この時期を選んだのは、ドイツのハノーバー国際展示場で3年に1度開催される世界
最大規模の「イントラロジスティクス」専門展示会、「セマット(CeMAT)」が5月の最終週
に開催されるのに合わせたからです。イントラロジスティクスとは、一言で言えば構内
ロジスティクスであり、ロジスティクスのうち陸海空の輸配送を除き、結節点となる物流
拠点・倉庫の構内における設備機器・システム・サービスを包含する新たな概念とし
て、展示会の主催者であるドイツ産業見本市社が掲げているもの。
CeMATのMATはマテリアルハンドリングのことで、展示内容は従来から保管・搬送・
荷役などマテハン機器が中心ですが、それにバーコード・RFIDなど自動認識システ
ム、包装、コンサルティング、物流不動産などのテーマを取り込んだ総合展示会となっ
ています。
このトレンド自体は日本の国際物流総合展と変わらないのですが、セマットは前々回
の2003年まで、世界一広い展示会場(8年前の環境万博の会場だったことをご記憶で
しょうか)全部を使用して10くらいの分野の専門展示会を同時開催する「ハノーバー・
メッセ」の1分野として開かれていたのが、05年から独立の単独展示会にすると同時
に、2年ごとから3年ごとの開催に切り替えました。
このとき「イントラロジスティクス」の概念を打ち出して産業カテゴリーとしての成長・イ
メージアップを図ると同時に、成熟化が進行し新製品開発のピッチが緩やかになって
きた設備業界の実情に合わせつつ、単独開催で展示スペースの制限を脱し、産業経
済のグローバル化で国際市場への参入を図る新興国メーカーの参加受入余力を確
保しています。
「3年周期の単独開催」は、こうした時代の変化に様々な観点で対応するソリューショ
ンであったことが分かります。日本と大きく異なるのは、ドイツ産業見本市という主催
企業が、展示会ビジネスを極めて戦略的に、主体的に展開しているということ。同社
は「各産業分野の世界No.1展示会を開催する」ことを戦略目標に据え、早い時期から
グローバル展開も進めています。
たとえばIT分野の「セビット」、絨毯・カーペットの「ドモテックス」、バイオ分野の「バイオ
テクニカ」等々。「セマット」もハノーバーでの展示会に加え、上海には展示会場を自ら
建設し「セマット・アジア」その他を毎年開催しているし、昨年からは「セマット・インディ
ア」も開始しました。その国際ビジネス展開の着眼点には、学ぶところが少なくありま
せん。
* *
ちょいと話がわき道にそれてしまいましたが、今回の視察団は、そのセマット視察を皮
切りに、ドイツでは翌日、メトロの百貨店業態であるガレリア・カウフホフの店舗をエッ
セン駅前に訪ね、紳士服へのRFID実導入状況をたっぷり視察しました。完全な恒常
的実用化ではなく、期間限定の「実験的実導入」であったわけですが、その規模・設備
の充実振りは驚くほど本格的で、案内してくれたIT担当のニコラちゃんの笑顔ととも
に、忘れられない視察となりました(何ともオヤジ臭いコメントですが……後日写真付
きでご紹介しますから!)。
続いて翌日はケルン近郊に最近開設された、噂の「DHLイノベーションセンター」を訪
問。ドイツポストグループとなった世界最大のロジスティクス・インテグレータがRFIDに
どう取り組もうとしているか、興味津々で乗り込みました。これは撮影禁止だったの
で、言葉で描写していこうと思います。
ここで土日の移動日のライン川下り(実際は上り)、パリ市内視察を経て、月曜はパリ
から新幹線TGVで2時間のリヨンへ。3年前の欧州視察で初めて訪れ、「13.56MHzで読
み取り距離8~10m」というパフォーマンスに一同が驚愕したDAG System社のユー
ザー現場と本社ラボでのデモ見学。ユーザーは北京オリンピックやF1にもテント、観
客席その他イベント用資機材を貸し出す大手のGLイベント社で、テントシートの個別
管理にUHFタグを導入決定するという意欲的事例でした。
さらにオランダはアムステルダムに飛び、ソニー・ヨーロッパの盗難防止+実績管理
用ケースタギング実導入例を見てから、書籍取次のセントラルブックハウスと大手書
店セレクシューズのコラボによる全冊UHFタギング事例。これはまた圧倒的なまったく
の実践取組であり、ビジネスモデルとして確立されている様子には心底驚きました。
* * *
以上の視察内容について、これから毎回、少しずつ、寄り道もしながら書いていきた
いと思います。前回好評を頂いた「米国視察ドタバタ紀行」の反省から、結論を急がず
(前回は書いていくうちに思索が深まり、当初の一面的な印象を最終的に翻す結論と
なりました)、書きながらゆっくりと考えを熟成させていくつもりです。どうか最後まで(た
ぶん2~3か月かかります)お付き合い下さい。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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