08/08/05(235)
Column 「ちょっとマテフロ」
ヨーロッパ物流・RFID紀行2008
その8/メトロのRFIDチャレンジ・その軌跡
独メトロのRFIDチャレンジについて、今回はカウフホフの現場に入る前に、我が国に
大きな影響を与えたこれまでの同社の取組み経緯を振り返っておきましょう。米ウォル
マートとのアプローチの違いも見物です。
*
メトロが消費財サプライチェーンへ工程へのRFID実導入を目指し、グループ企業と
RFIDベンダー、関連ITベンダー等の参加を募って「フューチャーストア・イニシアティブ」
を編成したのは、02年のこと。それから1年足らずの03年4月、傘下のスーパーマーケッ
トチェーン・エクストラのラインベルグ店を全面改装し、初代フューチャーストアをオープ
ンさせています。
フューチャーストア・イニシアティブには現在も世界80社以上のパートナーが参加してお
り、富士通、サトー、東芝など日本企業の名も見えますね。
パレット、ケース、一部はアイテム単位(クラフトのチーズ、ジレットの剃刀やCD)にも
RFタグを貼付し、さまざまな活用スタイルを想定した実用実験設備を構築。バックヤー
ド作業効率化と顧客サービス向上に向けた近未来プランを4年間にわたり検証し、大き
な注目を集めたことはご存じかと思います。
この間、ラインベルク店には世界63か国から31,000人が視察に訪れたそうです。日本
からもわが月刊「マテリアルフロー」企画の物流・RFID視察団が、確か03年・05年だった
と思いますが2度訪れたのを含め、各界関係者が争って訪問したのは、「メトロ詣で」と
も言うべき現象でした。とにかく05年度の経産省推進事業のテーマが「日本版フュー
チャーストア」になったくらいですから、いかにわが国行政・産業界にインパクトを与えた
かが分かります。
ノイスの中央物流センター構内に開設したモデル展示施設・「RFIDイノベーションセン
ター」とともに、メトロの取組みはRFIDチャレンジのベストプラクティスとして、ベンチマー
クの対象になった感があります。「●●イノベーションセンター」もあちこちに登場してい
ますよね。
* *
ウォルマートと同じくメトロも、RFIDとネットワークシステムの国際標準化団体・
EPCglobalの標準システムをベースにおいていますが、その後サプライヤーへのタギン
グコスト負担に強硬策をとったウォルマートが反発を買ってまごつく間に、メトロは融和
策もとり入れつつ順調に取組みを拡充させてきたように見えます。
とくに07年10月からは、中央物流センターに加え、業務用小売のメトロ・キャッシュ&
キャリーとスーパーマーケットチェーンのレアル店舗・国内全土180か所へ新たにRFID
システム(入荷ゲートへのRFIDリーダ)を導入、08年4月には次のステップとしてさらにレ
アル200店舗への導入拡充を発表しています。
以前の「米国ドタバタ紀行」でレポートした通り、ウォルマートのRFIDシステム導入店
舗数は08年1月までに1300店ですから、数ではまだまだ及ばないのですが、キャッシュ
&キャリーについては既に平均40%の商品でパレットタグの自動読取り・トレースが実行
されているそうで、欧州小売業界では最大規模の取組みになっています。続いてフラン
ス国内のキャッシュ&キャリー店舗にも導入する予定とのこと。
昨秋時点で180社の商品サプライヤーがタギング納品に応じ、他の全企業とも交渉中
と発表されていますが、07年末から中国・ベトナムの企業約100社がパイロットプロジェ
クト”Tag it Easy”に参加、タギング商品の輸出を開始しているそうです。
* * *
さらにメトログループは本年5月28日、ライン川下流のトニスヴォルストにあるレアル店
舗を、2代目の「レアル・フューチャーストア」としてオープンしました。メトロでは「移転」と
言っていますから、従来設備も活用しているのでしょう。
ここではイニシアティブ参加企業が新たなコンセプトで実店舗におけるRFID活用検証
を進める計画で、冷凍保管する肉類など食品日付管理への適用、RFIDリーダつき
フォークリフト、高層倉庫などの活用に挑み、生産から店頭までの全サプライチェーン
工程での活用効果を検証するとしています。同社ホームページのプレス向け資料から、
レアル店舗の写真を紹介しておきましょう。
また見に行かなくちゃ行けませんねぇ。でもウチの今度の欧米ツアーは、来年1月、米
国シカゴで開催されるアメリカ最大の物流システム展示会・プロマットを見てからRFID導
入現場など数件の企業視察をする計画。ヨーロッパはその後になりますから、少し待っ
てて下さいね。
なお8月1日発売の月刊「マテリアルフロー」8月号にメトロ・ガレリア・カウフホフのオー
ルカラー取材レポートを掲載しました。ご興味あらばご覧下さい。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
バックナンバー
ご意見・ご感想
|
ご意見・ご感想はこちらからお願いいたします。
|
 |
|