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08/08/26(237)

Column 「ちょっとマテフロ」

ヨーロッパ物流・RFID紀行2008

その10/ケルン、ライン川でドイツ最終日
 


  メトロ訪問を終え、話はようやく視察3日目の行程に入ります。「DHLイノベーションセ

ンター」を訪問し、その後はケルンの街歩き、ライン川上りを経て、フランクフルトから週

末のパリへと向かって参ります。





 ご存知の通りDHLは、今ではドイツ・ポストの傘下にあって、世界最大のロジスティク

ス企業グループを構成しています。本当はその物流現場でのRFID運用状況を見たかっ

たのですが、今回はケルンから1時間程度の郊外に設けられた展示施設「DHLイベー

ションセンター」に受け入れてくれました。

 まことに立派な展示館で、環境負荷低減に向けたグリーン・サービス、RFIDを含む高

度なITや物流システムの活用、最終組立など生産と物流工程を融合させた付加サービ

ス……などなど、社会的使命感に満ち満ちたイノベーティブな企業姿勢をアピールする

館内ツアーを体験できました。

 確かに21世紀の企業戦略として、こうした「社会に貢献する企業姿勢アピール」は想

像以上に重要になっている、それを率先し実践しているのだな、と感心しました。ただ

RFIDに関する展示は、ハンガー品のタグ一括読み取りと、温度・振動センサとともに開

閉検知用のRFタグを装着したインテリジェント・コンテナ(開発中)の紹介があった程

度。なので、以下概要は「マテリアルフロー」10月号のレポートに譲ることにします。


*             *



 ところで意外な挿話をここで一席。その朝、DHLに早く着き過ぎたので近くのマックに

寄り、コーヒータイムにしたのですが、筆者が帰り際にトイレに入り、さて出ようとする

と!

 扉が開かない。取っ手をどう回し・ひねり、引き・押ししても、ドアを叩いても蹴っ飛ばし

ても、最後に体当たりしても、開かないのです。欧州用携帯電話は持たず、他にトイレ

には誰も入ってこず、通路の奥にあるので声を出しても届かない場所。さて何とする。

 よく見ると、カギ穴近くに多数のひっかき傷がある。つまり、恐らく、これが初めてでは

ないらしい。原因は調子の悪いカギの放置「??」。ドイツ人は、日本人に劣らず真面

目で手抜かりのない人々ではなかったのか? 米国や楽天的なラテン系、南の国なら

まだ分かるのだけれど、謹厳なドイツのイメージが、ちょっと崩れてしまいます。

 そのうち人数が足りないことが分かれば添乗員さんが探しに来てくれるだろうけれど、

ドアがすぐに開かなければ……アポ時間が迫っているのだから仕方ない、皆さんに先

に行ってもらい、1人トイレに居残るしかあるまい、と腹をきめて7~8分。

ようやく添乗員さんが筆者を探し当てて店の担当者を呼んでくれ、彼が工具を探しに行

き戻ってきて、それからは2~3分で無事、ドアが開き、筆者もイノベーションセンターに

めでたく同行できたのでした。前回の米国ツアーは毎日こんなハプニング続きだったの

ですが、今回はこれくらいで済みました。逆に笑い話がなくて淋しい?


*         *          *


 さてDHLからケルンに戻り、遅い昼食に皆で豚肉料理と地ビールの「ケルシュ」

——200mlの小さな円筒形グラスで、何度もお代わりして飲む——を頂いてから、少し

時間があったので、「ケルン大聖堂」へ。高さ150m以上の2本の尖塔は何度見ても見

事。13世紀から建造が始まったものの、16世紀以後200年間以上、予算の都合などで

中断していた大聖堂の工事を、当時の市民とヴィルヘルム4世の努力で再開し1880年

に完成されたといわれます。

 ところがその「市民」の一人は未完成のままみじめな姿をさらす大聖堂に心を痛めて

いたゲーテだったことを、先週エッカーマンの「ゲーテとの対話」第一部を読んでいて発

見しました。友人の学者に散逸した設計図を探させて…といった話だったと思います。

 今回はあいにく修理中で塔の中ほどの展望階(地上109m)まで階段で登ることはでき

なかったので、一度この大空間でオルガンの響きを味わってみようと決意。ミサが始ま

るまで関係者が次々に入場し準備が進むのを1時間ほど待ち、さらに説教が終わるの

を待って、ようやくオルガンと合唱が。なかなか残響はよかったのですが、何が違うの

か、響きの深さはパリのノートルダム寺院の方が上かも、というのが筆者の感想です。


*       *       *       *


 さて翌日は土曜の移動日で、朝、バスで山間の道をザンクト・ゴアルスハウゼンに向

い、ライン川を2時間ほど船で上りました。筆者は十数回ドイツに来て、これが初めての

ライン川下り(実際は上り)。急流のカーブで古来よく船が遭難したのを、船頭がローレ

ライにたたずむ妖精に惑わされるのだ、とした伝説で有名なローレライの岩(ただの岩

山だけど)や次々に現れる沿岸の古城を実見(写真)。「日本ライン下り」で知られる筆

者の生地・犬山には城は1つしかないけれど、名にし負うものであることをようやく確認

しました。
        
  
 そして一行はフランクフルト空港から、一路パリへ向かいます。



(次回につづく)






 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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