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08/10/21(245)

Column 「ちょっとマテフロ」

日本でも遂に開始! 新刊書へRFIDタギング

その3/実際にタグをどう貼り・読むのか

 

 小学館・昭和図書が来月、いよいよ開始する新刊図書へのRFタギング。その実際を

紹介する段となりました。一挙に10万部超へ。出版業界のみならず、製配販を貫くサプ

ライチェーン工程へのRFID本格活用は、わが国初の試みです。





 これまで本コーナー、また月刊「マテリアルフロー」誌で何度か報道してきた通り、日

本出版インフラセンター、出版流通倉庫協議会では経済産業省の支援も得て、5年間

にわたり書籍へのRFID導入実験を継続してきました。その成果を踏まえ、ついにこの

秋、小学館の新刊書籍でRFタギングの実施に踏み切ります。

 「委託制度=返品条件付き売買」は、今後とも出版流通には欠かせない取引条件で

あるとしても、前回紹介したような返品と廃棄処分率の増加の原因は、委託制度に偏

り過ぎたことが大きな理由の1つであることは否めません。

 そこでRFIDによって同一銘柄本に委託制と責任販売制の併用を可能にし、返品不

可能な買切りのリスクを低減しつつ、より機動的な販売政策を採れるようにするため、

小学館では今秋の新刊「ホームメディカ 新版・家庭医学大辞典」(特別定価6,300円、

本体価6,000円、下の写真)で実地運用を試すことにしたのです。


 
 それによって①返品・廃棄処分量の削減を図り、②書店マージンの見直し、③取次

会社の物流費全般の軽減、④計画生産による版元の制作コストと返品・改装・在庫処

分コストの削減…等の効果を生み出し、読者への出版物の安定供給に結びつけるこ

とが目的です。

 小学館ではすでに7月から全国の書店にこの新企画を案内し、先行して宣伝活動を

進めてもらうとともに注文を受付開始。責任販売で5万、委託で3万と計8万部の当初

目標に対し、すでに10万部を超える受注にメドがついたそうです。

 取引条件は、委託販売では書店マージンが約20%(粗利1,200円)で返品は自由なの

に対し、責任販売制ではマージンが35%(同2,100円)と高い一方、返品は販売会社が

30%で引取る(35%のペナルティ)というルールにし、いずれか書店が選べるようにしまし

た。定価販売を条件とし、書店の強い希望がある「注文数は必ず配本すること」を約

束しています。

 これにより書店も取次も計画的な販売・返品管理ができ、出版社の小学館は事前に

受注することで計画的な注文生産ができます。



*            *



 次に具体的なRFIDシステム運用の中身を、覗いてみましょう。実は「今回の企画へ

の参加書店は1万店近く、部数は10万部以上の規模になりますが、現状は書店にも

取次など物流現場にも、ほとんどRFIDリーダがありません」と大竹社長は打ち明けま

す。

 ではどうするのか。「私は“先端技術を縄文式で使う”と言っていますが、目で見て分

かるように責任販売制で仕入れる本は幅広のスリップを真赤な紙に印刷し、委託制

は青にして書店では前者を先に売るようにし、タグラベルに印字するコードも責任販

売はシリアルナンバーの頭に[1]、委託は[2]のヘッダを付けて返品時にも区別できる

ようにします」

 ただし、すべて「縄文式」で行くわけではなく、一部の取次現場や書店には、昭和図

書からRFIDリーダライタを貸与し、RFID本来の効率的な読取管理を実施する予定で

す。

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さて気になるのは、RFタグを誰が、どこで貼り、費用はだれが負担するのかというこ

と。

 今回は、シール式のRFタグラベルは小学館と昭和図書が購入し、製本所で、委託も

責任販売も区別せず、全冊に貼ります。昨年までの実証実験では製本時に本の背表

紙にタグを埋め込む方式も試しましたが、タグの製造ミスで読めない・書けない時にも

剥がして貼り直せるよう、また個人情報保護のためにレジで剥がすこともできるよう、

貼付方式にしたもの。これは本コラム前シリーズで紹介したオランダの先行例に倣っ

た方法です。
 
 データをどこで書込むかは調整中ですが、返品されてきたらすぐ判別できるように、

出庫段階でデータベース化し、経由する取次・書店のデータを紐付けていく。これに

よってそれはどの書店がどの取次経由で、どんな条件で仕入れたものか、1冊ごとに

履歴情報がとれるというわけです。


(次回につづく)







 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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