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08/11/11(248)

Column 「ちょっとマテフロ」

食品業界の[喫緊]物流課題を探る

その1/現場の生産性に3倍の開き



わが月刊「マテリアルフロー」11月号で、「食品業界の[喫緊]物流ニーズ」の特集を組み

ました。食の安全に係わる事件がなお続く今、キーマン達は物流に何を求め、対策を

打っているのか。数回に分けてその主要論点をご紹介します。






改めて言うまでもなく、近年は食品に関連する偽装事故、有害物混入などの事件が本

当に後を絶たず、食品メーカーはもちろん、流通・物流事業者にも、世間の厳しい目が

注がれるようになっています。その中で原料価格も高騰し、世界金融不安・同時不況の

激震の中、経営管理者は大変な舵取りを求められているわけです。



11月号の特集は、流通研究社が先般開催したセミナーの内容をもとに、専門コンサル

タントの現状分析を皮切りに、味の素・ハウスという2大食品メーカー物流部門のキーマ

ンを迎え、率直な声を紹介しました。



今回はまず、(株)ロジスティクス・サポート&パートナーズ専務取締役の中根治氏の話

から再構成した冒頭記事「食品業界の物流課題と調査結果にみる物流現場の生産性

向上策~新たな物流ニーズとローコストオペレーション・生産性向上への着眼点」の論

旨を要約することにしましょう。



*            *


同氏は初めに食品メーカーの物流課題について、センターフィー、プライベートブランド

(PB)/小売・メーカー直接取引、トレーサビリティの3点を挙げて解説します。


この1年ほど、配送先小売業拠点のより近くに物流センターを作り、サービスレベル向

上と物流コスト削減を図ろうとする食品メーカーが増えているようです。しかし小売業が

運営する物流センター使用で求められる、センターフィーの問題はなお残る。加工食

品・菓子分野ではほとんどの小売センターが在庫型で、センターフィーは5~6%。この

ためセンターフィーを値上げする小売りチェーンに対し、センター一括納品をやめ店別

納品にしよう、との意見も出る情勢になっています。



またごく最近、セブン&アイ、イオンなど超大手がPB商品を次々に拡大。対応食品メー

カーは値上げしたくてもできなくなり、自社で物流体勢を構築しておかなければ、機動的

に対応できない状況になってきている。



さらに一部の不心得者による食品偽装事件が相次ぐ中、ほとんどのメーカーは公明正

大に取引しているとしても、より厳しいトレーサビリティ確立が求められています。商品

の製造工程は当然として流通過程でも、どこに・誰が・何を・いつ卸したか、取引情報ま

で全てを追いかけ、下流でクレームや事故が発生したとき、遡及できる仕組みを整える

ことが必要になってきた。



こうした物流課題に対応するため、食品製造業界では自社物流見直しの動きが始まっ

ている、と同氏は分析します。



*          *         *


次に中根氏は、先般ある出版企画に伴い約300の物流現場から回答を得た物流現場

の生産性調査の結果を引きつつ、他業界と比較した食品業界の物流トレンドを紹介。

物流生産性としては、1時間当たり1人が受注何行をピッキングするかの数字で比較。

従来は他と比べようにも評価基準が少なかったので、なかなか興味深い調査と言える

でしょう。

 

製造業、商業(卸、小売)、運輸業(物流会社、倉庫業含む)の業種別に、センターの形

態について在庫型のDC拠点、通過型のTC拠点、DC/TCを兼ねた複合拠点の比率と、

形態別の生産性を出しています。その結果分かったのは、DC/TC複合拠点は高機能

で、DCのほぼ2倍と明らかに生産性が高いということ。複合型拠点の比率は、物流拠

点の大型化・集約化の進展で、とくに卸・小売業では約4割に上っていたということで

す。



これらセンター形態別に人時当たり出荷行数を調べた結果によると、全体の平均では

在庫型センターで約12.9行、通過型では14.4行なのに対し、複合型の高機能拠点では

15.7行。中でも卸・小売の複合拠点では34.1行と、突出していました。約3倍の生産性の

差が出ているわけで、これは見逃せない。

 

一方これを食品メーカーの現場に限ってみると、メーカー物流は在庫主体・ケース出荷

主体なせいもあるのか、生産性は他のメーカーに比較しても高くなかったそうです。


その理由は、バーコードをほとんど使ってない現場が約6割あり、マテハン機器としては

パレットとフォークリフト程度という現場が多く、仕分け機やWMSなどの普及は他の業界

に比べ2分の1から5分の1とかなり低いことなどであった由。



*       *       *       *


本稿では続いて、よい物流現場と悪い物流現場にはどんな違いがあるのか、サービス

レベルとコストの関係などを業種・業態別に調べた結果として、トップクラスと平均では

生産性が約3倍開くという結果を紹介、その要因を探っています。



詳しくは、11月号特集のグラフと合わせてご覧頂きたいのですが、こうした分析を踏ま

えた食品業界の課題として同氏は、独自販路の開拓、人手の確保、生産性向上への

継続的な努力を(平均的な現場でも対応次第で生産性を3倍に高められる余地がある)

挙げた上で、コストセンターとされてきた物流でも今後は「儲かる体質」を作り上げ、存

在価値を発揮すべき時期なのでは、と呼びかけています。  





(次回につづく)







 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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