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08/11/18(249)
Column 「ちょっとマテフロ」
食品業界の[喫緊]物流課題を探る
その2/味の素物流の取組みと課題
前回に続き、月刊「マテリアルフロー」11月号「食品業界の[喫緊]物流ニーズ」の特集か
ら、今回は味の素の物流キーマンに肉迫。安全・安心、環境、ローコストオペレーション
と、多様な論点で話を引き出しています。
*
本誌が白羽の矢を立てたのは、味の素物流(株)取締役専務執行役員の鎌田利弘氏
です。一昨年まで味の素本体で物流企画部リーダーを務めていたことで知られる同氏
は、その後物流子会社の味の素物流に転籍。それまで品質とコスト面で厳しい要望を
出していた物流子会社の役員として、「今では本社の後輩たちから厳しい要請を受ける
立場に」なったと冒頭、明かしてくれました。
この味の素物流は2000年4月、旧味の素系の物流会社3社の合併統合で設立。社名に
「味の素」を付けるか否かで大議論があったそうで、他の食品メーカーから仕事を請け
にくくなるが、その名を冠することで、新規荷主開拓や社員募集などでプラス効果が得
られると判断されたようです。
初年度は別々の文化・制度を持つ3社の統合・融和に苦心。2年目には過去との決別、
負の遺産の整理をテーマに、「新しい皮袋に新しい酒を」と不採算事業や遊休資産の
整理に取り組みました。
3年目には新組織を筋肉体質にするため、構造改革をスタートし運送実務を切り離す方
向を打ち出し。4年目の2003年には、「動物園を出て野生の動物になろう」のスローガン
を掲げ、「三食昼寝付きの動物園」で家畜化された企業体質を一掃し、親会社からの
保護を当てにせず、野生の動物のように自分で稼ぎ、コスト競争力を確立することを目
指しました。このとき倉庫現場業務を切り離し、100%出資で倉庫運営会社をエリア別
に作っています。
こうして味の素物流には3PL事業の企画管理部門と倉庫の事務運営部門を残し、現在
では企画管理運営型の物流専門会社に脱皮。倉庫・運送の実務会社から事務を集
約、トータル実務管理ができるよう全国各ブロック別に100%出資のエース物流を設置・
整理し、現在に至っています。
味の素物流の売上は、2000年の統合時点で667億円、営業利益は11億8,000万円と食
品系物流企業ではナンバーワンの規模。営業利益率3%の目標はこの8年間ほぼ達成
してきたものの、08年3月期決算では売上641億円、営業利益10億5,000万と、営業利
益率は2%弱になっています。
* *
鎌田氏は、食品の最終商品を顧客に届ける最終アンカーである物流事業者の使命とし
て、安全・安心に細心の注意を払い「メーカーの命であるブランド価値を伝えきるのが
私どもの使命」と強調します。そのために物流事業者として提案をこちらから仕掛けて
いかないと「荷主の心に響かない」。
ただし食品メーカーの中でもこれまで物流のポジションは、「うまくやって当たり前、配送
が遅れたときだけ悪者にされる」という低いステージにあり、最近は物流が重要と言わ
れるようになったものの、食品メーカー社内でそれだけの人材が物流部門に配置され
ているかというと、「まだまだ」と率直な表白。逆に「現場は全部子会社や外部に任せて
いるので分からない、という担当者増えている」と、先輩としての苦言も。
具体的な安全課題については、今年の1月、農薬入り餃子が大問題になったとき、この
分野のナンバーワンブランドである味の素冷凍食品の餃子も売上が激減した由。とこ
ろがこうした問題に対応するため、製品がどこからどんな経路・ロットで届き、顧客にど
のルートでどの会社の誰が運んだか、保管責任者は誰だったか……そうした履歴がす
ぐ調べられないかと言われるけれど、もし全部を実現可能にするなら、大変なコストが
かかる。それは荷主に要求できるのか。消費者にしわ寄せされるのか。食品物流会社
にとって、この点が大きな検討課題になっているようです。
* * *
最近強く求められているもう1つの安全対策は、天災など災害時の対応だそうです。
メーカーのローコスト施策による在庫集中型の物流体制のままで、災害の発生時に対
応できるのか。建物の耐震性、バックアップする情報システム、人的なバックアップ体
制はどうなっているか。リスク保全のためダブルで保管するべきなど、物流業者はメー
カーの指示待ちでなく、物流事業者から最適な保管ロケーションと立地、在庫などの提
案をしていく必要がある、と鎌田氏は考えています。
続いて鎌田氏が現実の運送問題として挙げたのは、車両の回転率が平均1.1回
転~1.2回転/日まで落ちていること。原因は時間指定配送のようで、高額な車の回転
率がこれほど低くていいのか、メーカーも卸も小売も含め全体で真剣に考える必要があ
る、と強調。
物流拠点のコストについては、生産性を上げるためマテハン機器を活用し自動化する
場合と、人件費と補償費とのバランス、波動に対応した瞬発力、倉庫レイアウトなどを
考える必要がある。全国45の物流センターの様々な特性に合わせた対策を徹底しない
と、物流センターの生産性は上がらない。だが本当に自動化が必要なところには積極
投資をすべき、と付け加えます。
最後に、環境への取組みについては、ISO14000を一括取得し取り組んでいること、最
新規制に対応するデジタコなどの導入や燃費向上対策、またストレッチフィルムを今年
の4月から全物流センターで再資源化していること、モーダルシフトについては500km以
上の遠隔輸送では味の素グループとして100%のモーダルシフトがすでに実現されてい
ることなどが紹介されています。
以上はほんの要点です
が、詳しくは「マテリアルフロー」11月号をご覧下さいね。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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