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08/11/25(250)

Column 「ちょっとマテフロ」

食品業界の[喫緊]物流課題を探る

その3/SCM視点によるハウス食品の物流戦略




月刊「マテリアルフロー」11月号「食品業界の[喫緊]物流ニーズ」の特集から、最後にハ

ウス食品・ハウス物流サービスのキーマンを直撃。SCMの視点から製造・物流の全体

最適を追求するその正攻法には、改めて学ぶべき点があるようです。





ハウスの物流キーマンと言えば、そう、ハウス食品(株)SCM部長にして、物流子会社・

ハウス物流サービス(株)の代表取締役社長である早川哲志氏。02年に食品業界では

珍しいSCM部を立ち上げ部長となり、07年4月からハウス物流サービスの社長を兼務

しています。


ハウス食品の売上高は単体で1,700億円、グループで2,300億円程度。2010年には40周

年を迎えるハウス物流サービスは全国に21の物流拠点を持ち、現在の売上は約250億

円、しかし7億円以上の高い営業利益を挙げています。


ハウス食品ではSCM部の設立とともに、サプライチェーン・マネジメントの考え方を導

入。SCM部が資材の購入から生産計画、需要計画・在庫計画を策定し、受注を受け

て商品を送るまで、全体を管理する組織になっています。

物流会社であるハウス物流サービスが担うロジスティクスについて、サプライチェーン・

マネジメントの一機能ととらえ、ロジスティクスの様々な現場実行業務を、すべてハウス

物流サービスが担う体制。ただし従来は輸配送と在庫管理が中心だったのを、昨年4

月には受注センター機能も移管。工場から各支店のエリア倉庫への商品補充、グルー

プ企業の生産計画の一部やOEM調達なども担当する予定で、文字通りのロジスティク

スの広範な機能を担っています。


現在のハウス物流サービスの受託業務のうち、ハウス食品の仕事は約半分、つまり仕

事の半分は外部荷主の物流業務を請け負うもの。「単なるハウスの物流子会社ではな

く、物流業界の1社として戦える力がなくてはロジスティクス部門として、また企業として

生き残れない」と考え、7年程前から外販比率を高め、得意分野である加工食品関連の

メーカー物流分野を軸に3PL事業も開始しているそうです。


*         *


そうした中、喫緊テーマとなっている食の安心・安全への対策として、同社は倉庫の安

全品質基準を改めて策定しました。これは商品品質を保持可能な温度帯、ほこりが立

たない構造、照度は何ルクス、虫・鼠など防虫機能、排水設備なども含めた基準になっ

ているようです。加工食品はそもそも保存性を高めるために作れたわけですが、近年

は生に近い商品特性で生鮮品に近い品質保持が必要になっており、加工食品の物流

部門は一層厳しい条件を突きつけられているわけです。


ただ「加工食品の卸店向け物流」という同社のカバーエリアに限って言えば、ケース単

位でパレットに仕分けていく物流が基本で、小分けやバラピッキングの作業もなく、比較

的負荷は低いもの。前々回のコラムで紹介した調査結果でも、食品分野の物流現場に

は高度なシステムが余り導入されていない事実が明らかにされていましたが、こうした

要因があるわけですね。


それでも同社は現在、マテハン機器や無線LANのバーコードハンディ端末で伝票レス

の作業を行う倉庫も3か所保持。これは省力化よりミスの削減を目指したものだそうで

す。


その倉庫現場で今後、少子高齢化が進行する時代に向けて何が考えられるかを問う

たところ、同氏は「少々荒唐無稽だが、究極的には『鉄腕アトム』、つまり人型ロボットが

人の代わりに働いてくれれば一番有り難い」と。


「まだ夢物語かも知れないが、現在のマテリアルハンドリングメーカーやロボットメー

カーでも、そろそろ実際に製品開発に取り組んで良いのではないかと考えている」との

指摘は、実際その通りで、現在自動車メーカーや家電メーカーも参入し、次々により実

用的なロボット技術を開発しているので、近いうちに現実になる可能性はありますね。


*         *         *


こうしたシステムや設備の投資効果は、食品メーカーの物流が簡単なケース物流であ

るために出しにくい面があるようです。さらに食品業界は一般に、低価格の商品を薄い

利幅で扱っているので投資余力は小さく、マテハンなどの設備も高価なものは使えな

い。「だからメーカー各社には、より簡単な仕組みで低価格でありながら実行力がある、

といった提案を頂けないかと思っている」とニーズの所在を語ってくれました。


続いて早川氏は、原材料・資源価格が高騰する中でのコストダウン対策、SCMの推進

による在庫削減策、環境問題への対応などの取り組みを紹介。さらにトレーサビリティ

確立に向け、現在チャレンジを展開中で、パレット単位での追跡管理システム作りに挑

んでいることを明らかにしました。

QRコードやRFIDといった新技術の活用も含め、これは期待されるところです。詳しくは

マテリアルフロー11月号で確認を。

(シリーズ終わり)




 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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