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09/01/06(255)

Column 「ちょっとマテフロ」

新生・日本郵便の現場改善チャレンジ

その1/報道されなかった努力と成果



130有余年、国営事業として歩んできたわが国郵政事業は分割民営化の後、各社が

民間企業として戦うため様々な経営改革を進めてきました。今回は中でも、日本郵便

の現場改善チャレンジに注目し、新春コラムをスタートしたいと思います。





  新年明けましておめでとうございます。未曽有の世界同時不況か、との話題一色の年

頭ですが、筆者個人の観点では、どう考えても人の道を外れていた金融市場権力至上

主義の蹉跌が明らかとなり、あいまいだが仲間同士で節度を保ち守り合うアジア的アプ

ローチが見直される歴史的な転換点につながれば、これは地球的なチャンスにもなる

のではと期待しています。

 さて本コラムでは、今年もわが物流システム情報誌・月刊「マテリアルフロー」のコンテ

ンツと連携しつつ、頑張っている物流・流通現場、企業・技術の話題その他を次々にご

紹介していきますので、引き続きのご愛読をお願い致します。

 今回からフォーカスするのは前シリーズでも予告した通り、トヨタ生産方式(TPS)の異

業種導入事例としての郵便事業株式会社(通称は日本郵便、以下これを使用)のチャ

レンジです。自動車メーカーの手法を全くの異分野に展開する試みだけに、当初は戸

惑いや反発もあったようですが、今ではそれをTPSに学んだ「ジャパン・ポスト・システム

(JPS)」(以下この意味でJPSと記す)として消化し、全国に浸透・定着を進める段階に

なっています。

 その実態を確かめるため、編集部は日本郵便へのJPS導入指導責任者を務めたトヨ

タ自動車・林郁雄氏の協力を得て、同社の中でも注目すべきJPS導入効果を挙げた埼

玉県の三郷支店を訪ね、現場取材を敢行。年頭特ダネレポートとして、力を込めて書き

ました。


*             *



  日本郵政グループは現在までに、日本郵政株式会社の傘下に郵便事業を担う日本

郵便、局の窓口業務を行う郵便局株式会社、そして金融部門の株式会社ゆうちょ銀行

と保険部門の株式会社かんぽ生命、という4社に再編成されています。

 07年10月1日に設立後、昨秋民営化1周年を迎えた日本郵便では、民営化の流れを

臨み、その数年前から企業競争力確立に向け経営効率化に取り組んできました。

 日本郵便・JPS推進本部JPS企画部の菊池三雄部長によると、郵政事業庁だった01

年頃からすでに生産性向上への研究を開始、その結果まず03年1月、第1号現場として

当時有名になった越谷支店(統括支店)でJPSの実導入が開始されました。越谷には

全国から多数の改善担当者が集まり、林氏らトヨタのコンサルタントから指導を直接受

け、半年前後の研修を積んだ上で各地に戻り、水平展開する手順がとられています。

 ただ全国の支店(郵便局)は計1,091か所あり、いきなり全面導入はできない。社関東

支社JPS推進部の岩本孝一部長は、「そこで全国13の支社から1か所ずつモデル支店

(統括支店)を選んで、越谷で学んだノウハウを移転導入し、さらにそこから支社内に展

開を図ることになりました。関東支社では全国的にも平均的な規模の支店という観点

で、三郷支店を選んだのです」と話します。

 関東支社には161支店があり、9つの大規模統括支店以外は平均的な三郷の業務内

容と類似しているので応用展開がしやすいのですね。


*          *          *



  03年5月にモデル支店に指定された三郷支店がJPS導入への取り組みを実質的に開

始したのは、03年8月のこと。「他のモデル12支店はみな大型の統括支店なのに対し、

三郷は全1,091支店のうち1,020支店を占める、配達を主業務とする一般支店の代表、

という位置付けになっています」と三郷支店の渡辺浩支店長は説明します。

 以来、三郷のJPS導入は歴代の支店長と現場担当者、特に社員だけでなく非正規社

員1人ひとりに至るまでを巻き込んだ活動で順調に進み、一般支店の見本的事例として

全国的に知られるようになりました。それを聞き三郷に訪れた内外の見学者は累計

5,000名を越え、評価の声が寄せられているとのこと。

 しかしその割には過去、こうした日本郵便のJPS導入成功事例を正面から取り上げ

た報道を、私たちは余り目にしていないのではないでしょうか。逆に、異業種展開に悩

んだ関係者と現場の苦労を面白おかしく揶揄するような論調が、相次いでなされてきま

した。

  聞いてみると確かに当初は、郵便局に製造業のトヨタのやり方が応用できるのかと

の疑問の声や、変革への抵抗、原価意識を持たない公務員の風潮、民間との競争に

さらされる危機意識の欠如……等々を危ぶむ意見もあったようです。真実はどこにある

のか。 

 そこで「マテリアルフロー」ではそうした一部の偏見を排し、郵便事業現場における改

善への真摯な取り組みと成果を改めて取材し、そのままお伝えすることにしました。新

発売の1月号ではこの三郷支店の現場レポートをフィーチャ、続いて2月号では本社

キーマンインタビューと松山西支店の現場レポートなどの特集を予定しています。

 本コラムではまず1月号の内容から、三郷支店の現場改善の実際の姿を、来週から

数回に分けて要点紹介したいと思います。ご期待ください。



( 次回につづく )




 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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