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09/02/10(260)

Column 「ちょっとマテフロ」

日産が挑む同期生産とAGV導入

その2/AGV(無人搬送車)導入の背景



日産自動車追浜工場が開始した、生産ラインへの低床牽引型無人搬送車

(AGV;Automatic Guided Vehicle)の本格導入。900台ものAGVが活躍を始めた背景は

何なのか。自動車生産の歴史に新しい1ページを加える取組みを順に見ていきましょ

う。






 ◆AGV導入の背景;海外工場に負けない仕組みへ

日産自動車・追浜工場は神奈川県横須賀市にあり、わが国初の本格乗用車工場とし

て1961年に操業を開始。1970年には業界初となる溶接ロボットを導入するなど、最新

技術の導入に意欲的に取組み、世界でも屈指の自動化乗用車組立工場として発展を

続けてきました。マーチ、キューブ、キューブキュービックほか小型車生産が専門で、08

年3月の発表では43万台/年を生産しています。

前回説明した日産生産方式・NPWの推進と並行して、追浜工場では同社グループの海

外工場と競い、勝ち抜くための“生き残り戦略”として「追浜チャレンジ」を06年度にス

タートしました。同社では「世界最適生産」のため、全世界の工場で社内コンペを行い、

その車種を最も低コスト・高品質で生産可能な拠点に生産を委ねているのです。コスト

の低い海外工場に負けないためには、より少人数で効率的な生産体制を構築すること

が喫緊の課題だったわけです。

追浜工場では既に90年代から、台車積載タイプ/牽引タイプのAGVを部分的に活用し

ていました。しかしその後、自動車業界でも多品種少量化がますます進展。生産ライン

ではフレキシブルな異種混流生産を拡大することになり、ライン設備の汎用化(どの車

種にも対応可能とする)を進める必要に迫られました。

……これが、一時は自動車工場で下火になっていたAGV活用が、この2年で大きく復

活するに至る、背景だったようです。


*             *


 「当時はさまざまな車種をひとつのラインで流す際に、順番通りの部品供給がうまくで

きていませんでした」と、生産事業本部生産管理部・部門企画グループの橋本哲也主

管は指摘します。

組立ラインの前に多数の車種の部品パレットが大挙して並び、雑然とモノがあふれる状

態になってしまったのです。レイアウト変更もできず、遠くまで部品を取りに行くので人と

フォークリフトの動線も複雑化していました。

追浜工場製造部・iFA推進室の島田寿一課長は「これを少なくとも、“振り向けば部品

”(がそこにある)という状態にしたかったんです」と当時を振り返ります。

そこで追浜工場ではiFA(integrated Factory Automation)の取組みを05年から開始し

ました。これは「モノの整流化」、「安価な自動化」の2大テーマのもと、生産現場と物

流、工場とサプライヤに加え、ITと現場/ITと設計・生産準備、設備づくりと生産……そ

れぞれの融合を目指し、生産効率化を追求する取組みです。

その過程で「複数のサプライヤから納入された部品を1か所に集約し、モノの流れを1

本化する」(井上主管)「整流化」を推進。実はこれがAGV導入の前提となりました。1動

線・1荷姿にすることで、ムダのないAGV搬送ラインを設定できるからです。

合わせて、人による組付け作業、部品の選択・識別、部品を取りに行く歩行、空容器の

返却など、作業のムダも顕在化させ、集約していきました。

たとえば、iFAを導入したエアークリーナーの事例では従来、組立後の状態でクリー

ナーを工場に搬入していたのを、部品の分割納品後に追浜工場で組立を行うことにし、

トータルコスト(購入費用、調達物流費、内製費)の削減を実現しました。まさに「融合」の

コンセプトが実践されているのです。


(次回につづく)










 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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