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09/06/02(275)

Column 「ちょっとマテフロ」

出版サプライチェーン最適化へ

その1/日販の次世代物流拠点リニューアル



本サイトを含めネットワークインフラの進化で、出版業界の悪戦苦闘は続いていま

す。リアル紙メディアのサプライチェーン抜本的改善なくして、その未来はない。業界の

取り組みの中から、今回は日販の動きを取り上げましょう。








◆今すぐにできることから


月刊「マテリアルフロー」6月号では「出版サプライチェーン・最適化への道」の特集

で、業界全体の問題点と各社の取組みをクローズアップしました。その中から、具体的

な取り組み事例として、この現場ルポネタの一部をお届けすることにします。

……一国の文化・学術・芸術、そして専門誌・一般誌ジャーナリズムまでを支える、か

けがえのない出版流通。わが国には減少傾向と言えなお4,000強の出版社があり、そ

れを販売する書店は17,000社以上(コンビニ、大学生協、キヨスクなど除く)があると

か。

両者の間をつなぐサプライチェーンは、このままでは網の目のように複雑化し、物と情

報と金の流れは錯綜してしまうことでしょう。しかし販売額ベースでその9割が全国31

社の取次店を経由し、比較的整流化されているのがわが国出版流通の特長です(残

りは卸経由キヨスク等)。

しかもその9割のうち8割までが、日本出版販売(以下、日販)とトーハンの大手取次2

社によってカバーされているのは周知の通り。国内では珍しく寡占化・集中化が進展し

た業界で、それがサプライチェーン全体の効率化・システム化推進に寄与しています。

ところが、出版業界は10年来の長期売上低迷・下がらない返品率に悩み抜いており、

業界の存続をかけた抜本的改革、サプライチェーン最適化に改めて取り組むべき局

面にあることがコンセンサスとなってきました。


月刊「マテリアルフロー」が従来からレポートしているRFIDの導入もその一案で、6月号

で取り上げたように小学館が昨秋から実際にタギング出荷を始めたものの、業界全体

の本格導入にはもう少し時間がかかりそう。今すぐ、まず自分からできることがあると

考えた取次最大手の日販は、版元・取次・書店の3者が互いにメリットを得られる「トリ

プルウィン・プロジェクト」などの取組みに加え、09年2月までに書店向けの書籍発送拠

点である王子流通センターをリニューアル、本格オープンしました。


◆国内最強の出版物流インフラ

「このリニューアルプロジェクト“王子NEXT”は、弊社が06-08年の中期経営計画の柱

の1つとして3年がかりで進めてきたものです」と同社流通計画室流通計画課の市原真

也課長は説明します。

「“本業革新を支える新しいインフラ・バックヤードの構築”を目的に掲げ、王子流通

センターの構内に4,000坪の新棟を構築するのと合わせて既設棟・システム・マテハン

など設備もリニューアルし、“情報・物流システムの全面刷新”を実施することにしたん

です」

王子流通センターは1970年に王子営業所として開設後、74年の2号館増設で現名称

に変更。89年に高速自動仕分け機・マルチソーターを擁した王子ハイテクセンター(3

号館)をペーパーバックス(PB、文庫・新書・コミックス)専用センターとして稼働。98年に

は一般単行本向けに新型マルチソーター・MS2を新稼働させています。

そして今回、新棟が構内4号館として増設されたもの。「これによって別拠点のWeb-

Bookセンター(オンライン書店向け、07年増強)を含めた書籍送品センターの面積は計

22,000坪に、在庫量は80万点・800万冊となり、業界最大規模になっています」と同課

の太田紀行係長は話します。

この間、物流を区別している雑誌の発送拠点としては、コンビニエンスストア向けの

「CVS流通センター」、一般書店向けの「ねりま流通センター」を稼働。書籍・雑誌で文

字通り国内最強の出版物流インフラが整えられているのです。


(次回につづく)







 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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