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09/08/18(285)

Column 「ちょっとマテフロ」


郵便もスーパーも“ものづくり”

その6/東大・藤本教授のクロスオーバートークから



 藤本トークもそろそろ最後の段に(あと2回)。郵便、小売の異業種展開の話から、今

回はパソコン、自動車など製造業に戻り、日産のNPWの話題に展開。それはTPSを超

える概念だというのだが、果たして……?  
               (聞き手は筆者)






——こうした現場改善の取組は、ご指摘の通り国際競争にさらされる製造業がリード

し、それが郵便や流通などの異業種に展開されてきました。



[藤本] 貿易財でないから国際競争がなく、改善の遅れていた郵便事業でも、民営化

で競争意識が出てきたこともありJPSの導入が進みました。

これに対し自動車、パソコンなどの分野はもとより激しいグローバル競争の渦中にあ

りました。今ではパソコン工場は国内で数か所を残すだけになりましたが、残っている

現場はみな凄い技を持っています。

米沢のNECは10年で生産性を8倍に高め、安曇野のソニーは受注からカスタマイズ生

産し配送するまで2日というサービスを実現している。それだけ高度でなければ、もは

や国内工場は生き残れないということです。(中略)






——藤本先生はトヨタ生産方式だけでなく、日産生産方式(NPW;Nissan Production

Way)なども日本独自のものづくり方式としてカバーしておられます。マテリアルフロー誌

はこの2月号で、日産追浜工場のAGV(無人搬送車)システム導入事例をレポートしまし

た。



[藤本]
 日産のNPWが目指す整流化のハードルは、実はTPSより高いんです。トヨタも

含め従来の自動車会社は、かんばん方式による小ロット・後補充は行っても、部品の

順立て納品までは、多くの場合、要求していませんでした。

作業者は手元のいくつかの部品から1個を「選択」し「取付け」る、という2つの作業を行

うため、混流生産する車種や部品が増えると間違いが増えるようになりました。

そこで各社は次第に、ラインに流れてくる車種の順に部品も並べて供給する「順立て」

と、その車種に必要な部品一式を箱に集めた「キット供給」を行うようになったんです。

後者では部品キット場からラインへの部品供給がボトルネックになっていましたが、

この1~2年でAGVの導入が急速に進んできましたね(編注・トヨタ、日産両社が大量導

入している)。

簡易タイプとは言え結構高価なので、日産ではトヨタ系と同様、供給コンベヤなどには

グラビティ方式ほか安価な「からくり」を積極的に使っています。日産追浜だけで400台

を導入したAGVはまだ安くなると思うので、これからの勝負になるでしょう。




追浜工場のラインサイドで部品をキット化・順立てした部品箱は「お弁当箱」のように

整理されている。従来式は同種部品を決まった数収容する「饅頭箱」でした。同じキッ

ト供給でも、組立順に部品を並べ、組立時の部品選択作業を不要にしているのです。

NPWでは「順序遵守率」にこだわり、生産計画の立案時から部品メーカーと順立て生

産・供給で同期化させるという、TPSよりさらに深い次元での順立て納品を増やすこと

を目指しています。サプライヤと日産の工場が「見えないコンベヤで淀みなくつながっ

ている」ことを理想に、かんばん方式による後補充のJITの先を行こうとしている。

達成できれば、TPSより同期化の度合いが上なので、部品在庫もトヨタより減るはず

です。ただサプライヤ側が一朝一夕にそこまで実力をつけられていないようで、取組は

徐々に前進していく途上にあると言うべきでしょう。




(次回につづく)







 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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