09/12/08(300)
Column 「ちょっとマテフロ」
食品標準クレート、共有運用開始!
その2/流失を約4%へ、劇的な改善達成し全国展開中
スーパー業界の「標準物流クレート・共用化」についての特報、今回も月刊マテリアル
フロー12月号<特集//[協働]で進める食品物流最適化>のトップ記事から、これまで
の取り組みについてポイントをお送りしましょう。
◆ 共有パターン想定しRFID実証実験
クレート本体の標準化に続いて物流クレート標準化協議会では、前述のように将来的
なクレートのRFID管理に向けた実証実験を計画。これが平成19年度の経済産業省「電
子タグ実証実験事業」の1つとして採択され、多面的な実験が行われました(マテフロ08
年4月号で既報)。
それが「日配分野等における物流クレート共用化に関する電子タグ実証事業」で、小
売業としてはイトーヨーカ堂、イオン、ライフコーポレーション、九九プラスの4社が参加。
クレート用タグに書込むコード体系などRFIDシステム標準案とともに、実践的なクレート
「共有化」の運用スタイルについて、2つのパターンで具体的に検証しました。
その成果から、標準クレート活用とRFID導入効果の調査算定結果をみておきます。
◆ 環境負荷=排出CO2低減効果
まず第1段として、段ボール箱から樹脂クレートへの移行により、段ボールの使用量・
廃棄量が減らせます。樹脂クレートは繰り返し循環利用後、リサイクル可能なので大き
な効果が期待できます。
そして第2段として、このクレートを標準化し・共用化することで、バラバラな規格によ
るによる自社クレートの単独利用に比べ、クレートの絶対量自体が削減できます。ク
レート標準化による生産コストの低減は全体コストの低減につながり、さらにサイズ統
一化による配送効率向上、リサイクルシステムの一元化等によって排出CO2削減が可
能に。
これらの期待効果を同実証実験では、当面の対象カテゴリーである和日配品に加
え、日配品全体、さらにチルド品までに導入を拡大した場合を想定し、まとめました(図
は本誌をご覧ください)。和日配品だけで年間3,450トン、チルド品まで拡大すれば
11,422トンのCO2が削減できるという計算です。
◆ クレート数量管理による効率化効果
次に、これまでは段ボール箱の使い捨てまたは管理不在で「毎年20~30%」とも言わ
れる高い紛失率に悩んでいたクレート運用に、数量管理システムを導入した場合の効
果検証。
実証実験結果から、標準クレートの入出荷数量だけを記録管理する「総数管理」の場
合と、RFタグを添付しクレート1つひとつをユニーク識別する「個体管理」の期待効果
を、段ボール箱の場合と比較しています。
総数管理でも、クレートレンタル費用を含めてなお段ボール箱よりかなりのコスト削減
効果が見込め、個体管理ではさらにコスト低減が可能との結果になっていました。
◆ クレート共有化の運用ガイドライン完成
さて、こうした積み重ねの上で第2ステップとして標準クレートの「共有化」実運用開始
に向け、協議会では標準となる枠組み・運用システムの検討を継続し、08年度中に整
備を完了。09年4月に「食品クレート標準 共有化ガイドライン ver.1.1」を完成、総論編と
実地作業マニュアルとなる導入準備編・本編・棚卸マニュアル合わせて4分冊構成で発
行しました(日本スーパーマーケット協会、JPRホームページよりダウンロード可能)。
協議会事務局を担当し4年にわたり西村座長とともに活動を推進してきた、日本スー
パーマーケット協会・流通推進部の加藤崇氏(この10月でライフコーポレーションに帰
任)は話します。「初め2年間でクレート規格という“外形の標準化”を進めたのに続い
て、次の2年間は運用ルールと全体の枠組みを協議し、“運用の標準化”を進めました」
「運用ルールを決めるには、これを支えるシステムが必要。そこで今回は合わせて“
運用システムの標準化”まで行いました。これで標準化・共有化の枠組みが完成できた
と思います」
本ガイドラインは、文字通り食品標準クレート運用の「ルールブック」。総論編は、以上
に概説したなぜクレート標準化・共有化が必要か、どんなメリットが期待できるかの基
礎解説から始まり、標準クレート規格、共有化ルールの解説までが含まれます。
これをクリアしいよいよ実導入に取り組む段になったら、残る3冊のマニュアルに進みま
す。「導入準備編」では後述する数量管理システムの申込等手続、料金、規約等を確
認。続いて「本編」では各プレーヤーが担う入荷・出荷・在庫管理・貸出・返却業務の統
一的な処理手順と規約が、さらに「棚卸マニュアル」では年2回義務付けられた棚卸の
手順が分かりやすく説明されています。
クレート共有化決定から実運用を開始し運用継続まで、必要なことを網羅してあり、こ
れにより誰でも準備・運用・スタートができる枠組みになっています。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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