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コラム

間違いだらけの物流コスト管理

間違いだらけの物流コスト管理

(1/満車にするため1日待てばコストは下がるか?)

お待たせしました。ついにLSSが全面リニューアル! 準備でしばらく更新が半端になっていたこと、改めてお詫びします。さて、コラムは快調に走り続け、今月は「 Jコスト論」で物流コスト計算の盲点を追及します。


◆見える化の基本は、数値指標による評価

このところわが「マテリアルフロー」では、「見える化」をキーワードに、その具体的ツールの 1つとして「数値評価指標」を様々な視点から追いかけています。

今、何がどこに、いくつあるのか。多すぎないか。足らなくないか。受注・入出庫・箱詰め・お届けに間違いはないか。作業の人手は足りているか、手空きはな いか。予定の時間内に破損なく到着したのか。お客さまに満足頂けたのか。サービスレベルとコストのバランスは。輸配送モードの選択は最適か。廃棄物・排出 ガスは最小化できたのか……

物流オペレーションの実態に関して、管理者が本気になれば、聞きたいこと、確認したいことはこんな風に山ほど出てくることでしょう。で、気になったあなたが、電話で物流センター長にいくつか聞いてみたとしましょう。彼は元気に答えます。

「在庫は多少余裕を持たせてます。間違いはあまり聞いてないですよ。人は何とか足りてます。お客さんのクレームは時々ありますけど、まあ大丈夫っすよ!」

管理者であるあなたは、それで安心するのかどうか。根拠の不明確なアナログ会話・アナログ評価だけで、あなたは管理責任をまっとうできるのか。

どうもそれでは済まないご時世になってきましたね。少しでも低コストで、物流管理レベル・サービスレベルを少しでも高める戦いに挑むことなくして、勝ち残りは難しいビジネス環境になっているからです。

離れた、複数の物流現場のオペレーション状況を管理部門がとらえ、コントロールするために、そこで考案されたのが、客観的にデジタル評価のできる「数値指標」を使おうというアイデアです。

もちろん、どんな物流部門だって最終的な投入コストと収益から差し引きして得られる利益がなければ事業が立ち行かないので、半期か四半期か月単位か週単位 か日単位かはともかく、管理会計の手法で事後に計算した「利益率」くらいは把握していることと思います。でも今問われているのは、それ以前の段階で、オペ の実行中に、あるいは計画策定段階の意志決定において、機動的なチェックとコントロールを実現するということです。

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月刊「マテリアルフロー」 10月号(10月1日発行予定)では、このテーマを巡り、3つの興味深い取組みについて特集を組んでいます。そのうち本コラムでは、評価指標に“時間”の 概念を導入することによって、従来の管理会計の常識を覆しつつある「J-コスト論」を巡って、数回にわたって論じることにします。

「Jコスト論」は元トヨタ自動車・物流管理部長で、昨年度までものつくり大学教授を務めた、田中正知・Jコスト研究所代表取締役(ものつくり大学名誉教授)が編み出したもの。今回は理論誕生の原点をなす1つの事例を、イントロとして紹介しましょう。

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皆さんも多分1度は、完成車を2段積みで数台載せて道路を走る「キャリアカー」をご覧になったことがあるでしょう。工場でそのキャリアカーに載せてディー ラーに出荷すべき台数が、今日は満車に 1台足りない。すると「明日まで待って、満車にして出します」と現場は言う。積載効率を高めるほど、1台当たりの物流コストが下がるから——。

1度に6台より、7台満車で運ぶ方が運賃は確かに安い。だから多くの皆さんも、この判断には賛成されるのではないでしょうか。

「だが、それはおかしい」とトヨタの物流管理部長だった田中氏は思ったのです。が、それを説明する理屈がない。数式が立たない。

それでも田中氏には確信がありました。「できたものはすぐ届けるのが、商売のイロハ」。ラーメン屋の出前だって、岡持ちが一杯になるまで配達せず待っていたらラーメンが伸び、商売にならないではないか……

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さて、キャリアカーを満車にするため 1日待つのがよいのか、1台空きはあるけど今日出した方がよいのか。その答えを、今シリーズでは追及することにしましょう(お急ぎの向きは、月刊「マテリアルフロー」10月号特集をご覧下さい)。

「Jコスト論」はその判断根拠を数値の計算により算出可能としたことで、生産・物流のコスト計算・意志決定に革命的な変化を引き起こす可能性がありそうです。そのとき、旧常識には「間違いだらけ」という烙印が押されることになるかも知れません。


(次回につづく)

月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎

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