10/04/12(317)
Column 「ちょっとマテフロ」
「最強の物流センター長」を育てる
その2/ハマキョウレックスの人材育成現場から
月刊「マテリアルフロー」4月号「物流現場プロフェッショナル~センター長を育てる」
の特集から、ハマキョウのセンター長業務の徹底ぶりと育成法を立ち読み。今回は独
自の「センター長試験」の話題から。
◆ハマキョウのセンター長試験
同社が「物流センター長試験」制度を開始したのは04年2月で、以後半年に1度実
施、この2月で13回目となります。
かつては急成長する「3PLベンチャー」として注目を集めた同社ですが、大須賀会長個
人のカリスマ的リーダーシップに頼るだけでは、物流企業としての永続的な発展は困
難。もちろん会長を囲み全従業員が勉強会と意見交換を行う「大須賀塾」が、今も同社
の中核的な教育・全社連携の場であることに変わりはありません。しかしそのノウハウ
を会社として人事・教育制度/システムに取り込み、人材開発・育成に活かす継続的
な仕組みとして、この登用試験制度が確立されたのです。
センター長試験は、現場作業関連はもちろん、労務、経理、法規、運行管理などを網
羅し、現場総責任者に求められる幅広い知識・判断能力を問う実践的なもの。法規は
しばしば改正され、経営環境も変わるから、毎回総務部が新しい問題を作成。全24問
で、受験者に与えられる時間は90分です。同試験の主な項目は月刊「マテリアルフ
ロー」に掲載したので、ご参照ください。
*
この試験に先立ち、挑戦者はこれまでの仕事を通じ自分が誇れる成果、失敗、「セン
ター長になったらこんな仕事をしたい」という抱負・夢などをレポート提出。これは面接
の材料にするとともに記録に残し、後の人事考課の資料とします。
さらにレポートとペーパーテストの後には、社長・副社長以下取締役との面接試験
に。同社の3大指針「収支日計ができ、従業員とコミュニケーションをとり、全員に理解
できるよう説明し全員参加を実現できる」人材か否かを直接確かめるほか、「現場がこ
うなったらどうするか」と課題を与え30分で回答を求め、実地対応能力も試されます。
これらの結果を総合的に勘案し、判断するのです。判定は合格のほか、「ここをもう
少し勉強・経験した方がいい」と条件付き合格/保留とし、その後の精進により合格と
することもあります。
年2回の試験は毎年20名余が受験し合格者は半数程度、残りも2度・3度と挑戦すると
いう。合格者は正式な「センター長候補者」となり(1万円の手当がつく)、センター新規
開設または交代を待って、各営業部の部長・次長クラスの判断で適性に応じ新セン
ター長に着任させていく。こうして「次の人材」が陸続と舞台に上がっていくのです。
◆候補者の育成ポイント
ハマキョウではこれほどの総合力を備えた物流センター長、またその候補を、どのよ
うに育成しているのでしょうか。
「市販の解説書などを使うことはありますが、センター長試験専用のテキストや、その
ための教育などはありません。センターの仕事は同じ業界でも顧客により、現場によ
り、すべて違うので決まった内容はなく、日々の実践の中で教え、学んでいく。その長
として不可欠なのは、視野の広さですね」と有賀次長は指摘します。
「センターとしてはまず各作業のキーマンが必要ですから、そうした後輩を育て、セン
ター長候補を上げていくことになります。年功序列ではなく、大事なのは本人のやる
気。ただこの業務は得意だがあれはダメというのでなく、バランスのとれた人間である
ことが必要。経営管理能力はもちろん、現場と同じ目線に立って考えるなど、いろんな
アイテムを持ち合わせていないとセンター長は務まりません」
また中迫センター長は、「センター長がそうした後輩を育てる責任も担い、人事評価
項目にもなっています。しかし受験のために教えるのではなく、あくまでも日々の業務
改善のため。自分自身も後輩も、勉強の教材は現場です」と言い切ります。現場で起
きていることは日々違う。自ら足を運んで確かめ、現場から話を聞き、自分で動いて学
ぶ。小さな変化でも大きくな問題になることがあるから、見逃すことなく迅速に対応・改
善する。その必要性自体を体で学んでいく‥‥。
そうした人材を個性・力量に合わせて育てる中から、センター長が自ら次のセンター
長候補を推薦します。わざわざ試験対策のため集中教育を行うことはありません。た
だ日頃の業務を通した実践のほか、試験の過去問題や会社の規定集などはきっちり
教える。推薦した候補者が不合格になればセンター長自信の評価が落ちます。自分
の後を任せる後進の人材育成もまた、センター長の重要な役割と明確化されているか
らです。
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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