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10/05/11(320)

Column 「ちょっとマテフロ」



ICT&アジア;宅急便の次世代戦略

その1/ヤマト運輸・木川社長が語る次の一手


月刊「マテリアルフロー」5月号特集「物流現場のIT武装」のトップを飾るヤマト運輸・木

川社長インタビューは大好評! 全部とは行きませんが、その中からいくつかの発言

ポイントを紹介しましょう(趣意・聞き手は筆者)。



◆5つのソリューションビジネスモデル


ヤマト運輸は今、宅急便ビジネスをベースにした「5つのソリューションビジネス」の展

開を開始しています。宅急便が時代のニーズをとらえ、さらに進化しているのです(以

下、『 』は木川社長のコメント要旨)。


『弊社は3年前、宅急便の「一本足打法」から、荷物のトレーシングなどを可能にする

IT(情報技術)、きめ細やかな配送を実現するLT(ロジスティクス技術)、確実かつ利便性

の高い代金回収を支えるFT(金融技術)というヤマトグループの3つの機能を融合さ

せ、新しいソリューション展開しようと大きく舵を切り、5つのソリューションビジネスモデ

ルとして08年5月から展開開始しました』


それが通販事業者向けに当日配送をサポートするTSS、ネットスーパーサポート、デジ

タル家電品の修理品を扱うメンテナンスサポート、輸入品物流で国境を感じさせない

グローバルな小口配送を実現するグローバルダイレクト、WEB出荷コントロールサービ

スの5つ。

以上の法人企業向けビジネスの加え、個人向けには「より地域・個人密着型に」の方

向で進化させています。



◆宅配から個配へ

『高齢化、過疎化が進み、自分で買い物に行くのは体力的に厳しい、近くに店がないと

いった悩みを個人のお客様は持っていらっしゃる。また若い人にも巣籠り現象があり、

個人の生活スタイル、社会環境や構造変化に合わせてよりきめ細かくサービスを進化

させる必要があります。今までは全国一律サービスを掲げてきましたが、こうした1人

ひとりのお客様ニーズに合わせカスタマイズ可能にすべきではないか。そう考えた結

果が「宅配から個配へ」という宅急便の進化なんです』


これは荷物を届ける時、「家族に渡すのでなく自分に渡してほしい」という要望に応え

て、個人客が希望する日時に、自宅や勤務先やコンビニなどご希望の受け取り場所を

指定できるようにしたもの。


『しかしそれだけでなく「地域密着」を一歩進め、地域・住民との共存共栄のために何

かできないか。たとえばさびれた商店街の活性化に向け、私どもが商店と住民のつな

がりを仲立ちする。あるいは農家がJA規格外品として大量に廃棄している作物を流通

させるなど、「個」と「地域」に近い所に焦点を当てようと考えているんです』





日本全国に張り巡らせた宅急便のネットワークと「ラストワンマイル」の足を活かし、地

域・社会への貢献を目指すというのは実に興味深い視点。ただ、それがすぐビジネス

になるかは疑問もありませんか、と筆者は聞いてみました。すると木川社長は・・・・


『ヤマトは利益の計算を最初にしないんです。事業選択の基準は、世のため人のため

に今、必要とされているかどうか。利益につながらない仕事をやめたら、それは必ず零

細農家、高齢者、過疎地など「弱者切り捨て」になってしまう。本来は国がやるべきこと

かも知れない。しかしそれをやるのが「ヤマトのDNA」なんです』


『お客様のニーズに合致し、評価して頂ければ最後には利益を頂ける。そういう思想で

宅急便のサービスを開発し、今日まで展開してきました。この足場はこれからも絶対に

崩しません』


郵便事業もこの問題であれこれ試行錯誤が続く中、事業は「世のため人のため」と言

い切る。ちょっと感動できるいい話だと思いますが、いかがでしょうか。


(次号につづく)






 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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