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10/06/15(325)

Column 「ちょっとマテフロ」



“世界の中小企業”スズキの経営戦略

その3/鈴木修会長兼社長の痛快講演から


月刊「マテリアルフロー」6月号特集「3PLブラッシュアップ」からのぞき見する

スズキ(株)鈴木修会長兼社長の痛快講演録。今回は急成長の直後、創業以来「最

大の危機」に陥った同社の舵取り…いよいよ本題です


◆急成長の直後に「最大の危機」

人間というのは、うぬぼれるものだ。32年間のうち29年は上り調子で、私も「それい

けドンドン」の時代しか経験していなかった。


トヨタ自動車さんが最近リコールの問題で苦境に陥ったとき、豊田社長が事業の急

拡大に人材の育成が伴わなかった、と反省の弁を語っておられたが、私どももまさに

その通りだったのだ。


スズキはかつてトヨタを筆頭とする国内自動車業界では11~12番目から走り出し、10

番、9番、7番、5番と追い上げてきた。追いかけることと、売上が増えることは知って

いた。
 

それがリーマン・ショックのあと、2008年に3兆5,000億円だった売上が2009年3月には

3兆円へと5,000億円減、さらに2010年3月には2兆4,000億円と1兆1,000億円も落ち込

んだ。


恥ずかしい話だが、スズキは敵をかき分け前進する戦いは知っていても、落ち込ん

だときにどう対応し撤退するかを知らなかった。





日本陸軍がなぜ戦争に負けたか。よく言われるのは、突撃は知っていても撤退を知

らなかったということだ。中国、ベトナム、インドネシアと攻めて行きシンガポールあた

りで戦線を止めて内容を充実すれば良かったのだが、ガダルカナル島では戦死が1

割、9割は餓死という壊滅的な状態になっていた。進むだけ進み、振り向いたら誰も

おらず、食料も交代の兵も送ってくれない。


馬や食料や武器弾薬を運ぶ役割を担っていた輜重兵は、「輜重輸卒が兵隊ならば、

ちょうちょとんぼも鳥のうち」と揶揄され、兵隊扱いされていなかった。


ここに大きな問題がある。アメリカなどの軍隊は、まず食料弾薬を運び、代役も運ん

で(編注・これがロジスティクスである)それから上陸した。日本は反対だ。陸軍大学

出の参謀本部が机上の計算で現地の作戦を指導した。


司令官の優劣は何によって決まるか。突撃で敵陣を脅かすだけでなく、いかに少な

い犠牲で撤退を果たせるかによって評価は決まる。陸軍大学や理工大学出で実務

を知らず評論家的なリーダーでは、突撃はできても撤退ができないのだ。

(次回につづく) 

 




月刊マテリアルフロー 編集長

菊田一郎



 

 


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