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間違いだらけの物流コスト管理(7)
Column 「ちょっとマテフロ」
間違いだらけの物流コスト管理
7/「小ロット・多頻度」の有効性を証明する
前回紹介した田中正知氏謹製「収益性劣化率」表の活用法の続きです。今度は,運賃ゼロでパラメータが1の場合,すなわち工場渡しを前提に,製品を倉庫に保管(もしかすると,放置)しておいた場合を考えましょう。
在庫日数は実質的な輸送日数として加算されるので,そこに置いておくだけで収益性は日々劣化していくことになります。資金を回収せず寝かせておくことによる逸失利益が,「見える化」できるというわけです。
「本来企業は,運転資金の回転,つまり投入した資金がどれだけ収益を挙げるか,利回りで考える必要がある。それを考えようとしないのは,大変な間違いだと思います」と田中氏は突っ込みを入れます。
「未だに各社が気づいていないのは,運転資金の回転に2~3か月かかっているので,たまたま問題が顕在化していないからなんです」
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製造に3か月かかっていれば,物流にさらに半月かけても,時間軸は1.16になるだけなので,そこで1~2日リードタイムが動いても気にならないということのようです。
しかし昨今,製造のリードタイム短縮には,どの企業も力を入れています。将来製造リードタイムが半月になった暁には,時間軸は2.0になり,その影響が大 きく現れることになる。だからこそ,製造のリードタイム短縮に遅れないように,今こそ物流の改善を進めていく必要がある,と田中氏は力説するのです。
会社や顧客の財産を扱っているという意識が希薄で,「“墓石”を運ぶのも,(半導体ダイオードの)“石”を運ぶのも同じに考えている」物流現場があるとし たら,運転資金回転期間が短縮化するうち,大きな問題発生に繋がることになる……。辛らつな言葉も、ここは虚心に受け止めねばならないかも知れません。
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こうしたJコスト論の観点から,田中氏は物流に係わる最近のいくつかの動きを憂慮しているようです。
1つはフランス某社が推進する旅客機の超大型化と,相反する中小型機へのシフトの問題。先の「大ロット v.s. 小ロット」問題と同様の論旨で,Jコスト論では,運行頻度を下げる超大型機は顧客サービスを向上しない,という結論が引き出されます。
一方、海運分野でもコンテナ船の巨大化計画が進められていますね。これにも同じ理由で田中氏は疑問を呈し,論文でも発表しています(「海運経済研究」第38号,日本海運経済学会)。
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こうした「大ロット・少頻度」物流は一見合理的にみえるのですが,実は常にそうというわけでなく,トヨタ生産方式が追求してきた「小ロット・多頻度」の生産・物流にこそサービスと収益向上の方途があることを,Jコスト論は証明するということです。
この意味でJコスト論は,トヨタ生産方式の核心をなすJITコンセプトの活用可能性を万人に開く,という点に,画期的な意義があると思われます。
雑誌には書きませんでしたが,これをもう一歩進めて言えば,このコンセプトを実践することで他社に抜きんでていた先行企業のアドバンテージが,ひろく一般 に拡散する中で薄まっていく可能性も当然ありますね。でもそれで産業界全体が活性化されれば、その果実はまた手元に巡り巡ってくるはずです。
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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