Column 「ちょっとマテフロ」
RFIDのアメリカン・テイスト
その3/米視察ドタバタ紀行・ダラス編-2
米国RFID・物流システム視察団レポート、ダラス編その2は、焦点のウォルマート視察(その1)。ガードの固さで知られ、よほどのことがないと見せてもらえないバックヤード潜入に、わがチームは成功したのか?
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ダラス郊外で前回書いたジェネスタ社訪問を終え、近くのお薦めレストランでバーベキュー風ステーキ(一瞬ソースがみそカツソースに似てる気がしたものの、甘ったるくて食べきれず)を食したあと、狙いを定めていた近くのウォルマートに、一行はやってきました。
店に入ったところ、カメラを携えたメンバーの姿が目立ったのでしょう、さっそく入り口の警備員から「写真は撮らないでくれ」とのご注意。こいつぁやっぱりキビシいかな、と思いつつ、店員さんに店長さんを呼んでもらいました。
まもなく青年店長が来てくれたので、筆者は通訳さんと「バックヤードツアー」お願いの交渉を始めました。実は今回、公式ルートでの折衝が難航していたため、裏ワザを使う選択肢もあるかも知れないけれど、ここはまっとうに「現地・その場で店長交渉作戦」に切り替えることにしたのでした。
たまたまスーパーセンター(生鮮品も扱う大型店)ではなく、中規模の店だったのがよかったのかも知れません。「いっぱい買い物をしようと思って寄ったのだけど、バックヤードに先進的なシステムを導入されていると聞いたので、この機会に少し見せてもらえないだろうか」などと笑顔でしばらく説明するうちに、店長さんは意外にも「いいよ。じゃ彼に説明させるよ」とリーダー社員とおぼしき若者を呼んでくれました。
ふう、交渉、成功。広報部門の厳しい守秘姿勢はそれとして、現場にはおおらかなアメリカン・スピリットが息づいているようです。ただ店舗によって様々な意味で管理レベルに違いのあることを、私たちは後に発見することになります。
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さっそくリーダーに率いられ、一行は通路奥のドアからバックヤードへ入ります。と、店舗とバックをつなぐドアを抜けた左右に、確かにRFIDゲートリーダアンテナが。なるほど、ウワサ通りだ。さらに奥へ進むと、広い長方形の店舗の後方と右方をL字型に囲んで、倉庫・事務所=バックヤードが設置されているのが分かります。
余り整頓されているとは言えない(繁忙期前で商品が一杯)暗めのラックや事務所を通り抜け、店舗正面から言って右奥に23か所くらいの入庫ドックが並んでいました。そして全てのドック左右に、RFIDゲートリーダアンテナが設置されています。
そしてその脇にある段ボールクラッシャの斜め上方にも、アンテナを発見。つまり、ケースのRFタグをドックからの入荷時、そして店頭への棚出し・戻し時、さらに空き箱をクラッシュする時、と4次にわたってタグを読む。これによって何がいつ・何ケース入荷し、棚出しし・戻し、さらにケースの商品全部が残らず棚出しされたかまで、リアルタイムに検知できる、というわけです。
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ところが段ボールクラッシャ上のアンテナをよく見ると、カバーの中身のアンテナが撤去されているように思えました。後の「シカゴ編-2」で書くつもりですが、これには理由のあることが、あるベンダーの話で分かりました。
またリーダーに頼んでRFタグの付いている商品在庫をていねいに探してもらったのですが、「このへんにあったはずだよ」と言いつつ、ついに最後まで1つも見つからず。RFIDの運用や効果について聞いても、リーダーはよく把握していない様子。もっと言えば、フル装備されたリーダライタの設備も、どうもフル稼働している雰囲気には見えない。RFタグ付き商品の扱いは、現在この店では、わりと限られているようです。
ただ以前、「この商品が今そちらに行っているはずだ」と本社から連絡があり、探して見つけたことがある、と言っていました。つまり、RFIDの仕組みは本社サイドが商品の流れ・所在を自動的に見える化し把握・対応するために活用されており、店舗オペレーションとしては余り意識されていない、というのが少なくともこの店の実態であるように思われました。
20分ほどでバックヤードツアーを終え、とても親切だったリーダーの案内に皆でサンキューと別れてから、今度は店内でRFタグ付き商品を探し回りました。次の日に訪問する予定でウォルマート向けRFタギングを積極的に進めているヒューレット・パッカードのプリンタを見ましたが、通常のバーコードラベルだけ。時間も限られているのでここでは家電製品を中心に見て回ったのですが、筆者が見つけたのは唯一、Duraband社のテレビにEPCマークのあるRFタグを発見しただけでした。
この結果をどう見るか。まだ続く今回のツアーで何かが分かるはずだと思った筆者の期待は、裏切られませんでした。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎