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RFIDのアメリカン・テイスト(5)
Column 「ちょっとマテフロ」
RFIDのアメリカン・テイスト
その5/米視察ドタバタ紀行・メンフィス番外編
米国RFID・物流システム視察紀行も半分の行程を終えました。もう年末でもあり、ここで
ちょいと「紀行」らしく、プレスリーやキング牧師、そしてブルースの町であるメンフィスを
巡り、米国文化論のまねごとなどを。
*
かつてライオンと呼ばれた時の総理がブッシュ大統領とこの地を訪れた際、プレスリー
を唸って物議をかもしたことは皆さん、ご記憶があると思います。確かにちょうど団塊の
世代から上の先輩方にとって、プレスリーはロックンロールとブルースの神様的な存在
であったようです。
一行はヒューレット・パッカードの物流センターを後にし、わずかな時間でしたがバスで
メンフィスの見所を一回りしました。
まず向かったのが、プレスリー博物館。彼が20年間暮らしたという旧大邸宅「グレース
ランド」とその向いの施設に、色んな展示がされている由。06年6月30日、わがライオン
宰相が訪れたのがここなのです。それからプレスリーが初めてレコーディングしたという
小さなスタジオにも寄り、ショートストップ。エレキギターのカンバンが出ており、今では
関連グッズショップになっています。
次いでちょっと市街のはずれにある、一見何でもない小さなモーテルへ。ローレインとい
うその名をご存じの方はありますか。「私には夢がある、いつの日か、黒人の子も白人
の子と一緒になって……」と歌うように夢見るように人種差別反対の歴史的演説をした
キング牧師が、最後に暗殺された現場です。
まことに質素な2階建てのモーターホテルでありました。以後数十年間、当局の不当な
扱いに反対し、ホテル前の路上で寝泊まりして抵抗運動をしているご婦人もあられる
由。
* *
前回も触れたように、メンフィスの住民は半数以上がアフリカ系アメリカ人とのことで、こ
のブルースの町を流れるミシシッピ川をメキシコ湾に向け南へ下っていけば、たしか
ジャズのメッカ、ニューオリンズ。故郷を遠く離れ、虐げられていた黒人達の魂のうずき
を音楽にしたようなブルース、それが洗練され磨き上げられ、ジャズに、そしてロックン
ロールに生まれ変っていきました。
実はミシシッピを逆に上流側に北上し、ミシガン湖までもう一飛びすると、翌日の目的
地・シカゴ。やはりブルースとジャズが名物です。筆者は正直、不案内なのですが多
分、ミシシッピの流れが二百数十年の間、人・船・物・文化の流れを紡いできたのでは
ないかと想像します。
日本でもそうですが、街道・鉄道が整備されるまで、舟運は内陸物流の要だったはずで
す。もちろん、かつては奴隷としての多くの黒人たちを、文物と共に、彼らの悲しみ・苦
しみと一緒に、何度も運び上げ、運び去ったに違いありません。
現代のメンフィスは実にこぢんまりとした町で、高層ビルもほとんどなし。通りも1車線か
2車線で、街路樹のはざまをレトロな木作りの路面電車が走って行きます。夕食後、一
行は1区間だけ、1ドル払ってこの電車に乗ってみました。まるで明治村にあるチンチン
電車みたいでありました。
それから、ブルースを聞かせるパブや関連グッズショップがずらりと建ち並ぶにぎやか
な一角に回り、せっかくなので1軒の店に立ち寄ってみました。出ていた白人バンドは余
り上手ではなかったので、まあ雰囲気だけ。
けれど、ブルージーなこのテイスト、香り、やはりまさにここ、米国中南部で生まれ、はぐ
くまれたものに違いない、とこの町並みは確かに感じさせてくれました。
* * *
本当にいい町だった。でもなぜ、我々はそう感じたのか。
長くなりそうなので、少し文明論を突っ込んだ続きはまた次回に。
ところで本コラム、今年はこれで最後です。1年間、有り難うございました。引き続きご声
援をお願いします。
(次回につづく)
月刊マテリアルフロー 編集長
菊田一郎
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